母子世帯の所得改善を明記、大学院大学の教員100人に増員へ<沖縄振興基本方針>


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 内閣府が24日に示した「新たな沖縄振興策の検討の基本方向」は2022年度以降の新たな沖縄振興策の骨格と位置付けられ、法整備などの議論のたたき台にもなる。子どもの貧困対策の推進など、現振計の10年間で表面化した問題を解決する姿勢が示された。跡地利用推進法の延長・拡充、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究規模拡充、揮発油税(ガソリン税)について、財政支援や必要な措置を講じると明記した

<子の貧困・教育>ひとり親所得改善明記

 子どもの貧困については、相対的貧困率が全国を大幅に上回り、ひとり親家庭の貧困率などの関連指標も厳しい現状を裏付けているとの認識を示した。子どもの貧困解消、貧困の世代間連鎖を防止するためには母子世帯の所得改善が重要だと指摘し、非正規が多いひとり親の雇用形態の改善や、正規雇用と非正規雇用の格差是正を進める必要があるとした。母子世帯の所得改善のため、父親の責任の明確化にも言及した。

 現状の改善に向けて人材育成、雇用確保など保護者の支援につながる取り組みが重要だとしたほか、支援対象者の把握強化や子どもの居場所づくり、貧困対策支援員の設置支援などを引き続き実施するとした。

 進学率などを踏まえ、沖縄の子どもを取り巻く環境も深刻だと指摘。貧困の連鎖を防ぐため教育の機会の保障は特に重要だとした上で、子どもの貧困が教育の機会を奪う事態を防ぐため「必要な財政措置を果敢に行う」とした。

 語学教育の必要性に触れつつ「米軍基地やOISTをはじめとする豊富な研究資源を活用」と盛り込み、国内トップクラスを目指すべきだとした。

<OIST>持続的推進目指す

沖縄科学技術大学院大学(OIST)

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)については、世界最高水準の教育研究機関を目指して国が集中的な投資をした結果、科学誌の世界研究機関ランキング上位に入るなどの成果が見られるとした。

 その上で今後5年間で教員(PI)数を100人に増員する目標を掲げ、「国際的に卓越した科学技術に関する教育研究の持続的な推進を目指す」とした。

 一方で、OIST側には運営に必要な資金の20%程度を外部から自己調達できる体制の構築を目指すよう注文を付けた。