【識者談話】沖縄振興策、教育格差解消への視点欠落(佐久間正夫・琉大教授)


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(佐久間正夫・琉大教授)

 今回の案は、教育の機会が保障されている層に対しての施策しか書かれていない。教育の機会が十分に保障されていない層がなぜ生まれているのか、原因追究がない。

 確かに沖縄の高校・大学の進学率は全国最下位である。中退率もかなり高く、深刻な状況だ。こうした状況を改善すべきと考えているのであれば、その原因究明と、そこに対してのアプローチが必要だ。

 「貧困の連鎖を防ぐためにも教育の機会の保障は特に重要」と前置きしておきながら、突然英語教育だけを取り上げて「国内トップクラスを目指すべき」とは理解に苦しむ。教育の格差を埋めるためにどう取り組むかが完全に抜け落ちている。

 特に理解できないのは、米軍基地を「豊富な教育資源」と位置づけていることだ。米軍基地は要らない、無くしていこうというのが県政の長年の課題だ。それを真っ向から否定し、活用すべきとするのはあまりにも勝手な理屈だ。まるで教育資源として素晴らしいから残しておくべき、といっているようだ。

 沖縄の実情を全く理解しておらず、このような理解の上に立った施策に期待はできない。 (教育行政学)