【記者解説】陸自の弾薬搬入に「不許可」 異例の判断の理由は


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宮古島市の座喜味一幸市長

 陸上自衛隊の陸自保良訓練場(市城辺)へのミサイルなどの弾薬搬入で、宮古島市の座喜味一幸市長が輸送に必要な港の使用を「不許可」とした。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない市内の状況から「現状では受け入れ難い」とし、「市民の安心、安全」を考慮した結果、異例の判断を下した形だ。

 陸自は6月、CH47輸送ヘリコプター2機を使い宮古島へ弾薬を搬入している。だが、ヘリでは大量輸送ができないことなどから今回は海路輸送を計画した。民間船を予定していたが、船・荷役の県内主要業者が弾薬の輸送や荷役を担わないとの方針を陸自側に伝えたため、海自輸送艦の使用に変更し、市に港の使用許可を申請していた。

 一般に県内の港を使用する場合、県港湾管理条例や市町村条例で港を管理する県または自治体(知事や市町村長)の許可が必要となる。一方で、港湾法では行政側は不平等な取り扱いをしてはならないとも定められており、申請不備がない場合は、許可されるのが通例で、今回の不許可は異例と言える。

 弾薬の海路輸送計画が報道された20日以降、複数の市民団体が「市民に危険が及ぶ」などとして弾薬搬入拒否と港使用不許可を市に要請した。不許可判断で要請に応えた形だが、理由は「新型コロナ感染拡大防止」であり、弾薬搬入を拒否したわけではない。陸自は今後、搬入時期や手段を再検討するとみられる。海路輸送を維持する可能性が高く、座喜味市長の判断が再び焦点となる。(佐野真慈)