「デンシンヤー」県史跡に 日本ー台湾結んだ海底電線 石垣市


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県史跡に指定された石垣市の海底電線陸揚室跡(石垣市教育委員会提供)

 沖縄県教育委員会は27日付で、石垣市の「海底電線陸揚室跡」を県指定史跡に指定した。県史跡指定は2018年の「田名城跡」以来3年ぶり。地元では「デンシンヤー」と呼ばれている。

 海底電線陸揚室跡は1897年、陸軍省臨時台湾電信建設部が建設し、本土と台湾の基隆を結ぶ海底電線の、重要な中継基地となっていた。沖縄戦当時、米英軍の標的となり、空襲による無数の弾痕が建物に残っている。

 戦後、無線電話の発達に伴い、海底電線陸揚室としての役目を終えた。旧逓信省から日本電信電話公社(現NTT)を経て、1985年に石垣市に無償譲渡され、86年に石垣市指定史跡に指定された。敷地内には建物のほか、石積みや通信員が使っていた貯水用タンク、井戸などが現存する。

 県文化財保護審議会は「県が近代の通信情報網に組み込まれた社会情勢を示すとともに、八重山諸島における沖縄戦の痕跡を残すことで重要な遺跡と評価される」と答申した。

 金城弘昌教育長は「新たな史跡の指定は、文化財の保存・継承の観点から大変喜ばしい。石垣市教委と連携し、文化財の保存と継承に努めたい」とコメントした。石垣市教育委員会の石垣安志教育長は「市の通信史として重要な遺跡だ。文化財は地域を象徴するものであり、普及啓発の強化など地域を主体とした取り組みが重要だと考えている」と述べた。