沖縄予算「モノからヒト」鮮明に 統合方針の公庫は増額


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内閣府(資料写真)

 内閣府が示した2022年度の沖縄関係予算の概算要求案は、3千億円を2億円下回る2998億円となった。引き下げの主因は、道路、港湾など社会資本整備の関連費用の減額だ。概算要求案は1262億円で、21年度当初予算の1420億円から158億円の大幅減となった。

 一方、政府が日本政策金融公庫への統合方針を示している、沖縄振興開発金融公庫の赤字補填(ほてん)に備える補給金は、21年度当初予算から46億円増の66億円を求めた。

 内閣府関係者は「新型コロナ感染拡大の影響を受けた事業者らへの融資が増えたことが背景にある」としており、緊急時に果たす役割を挙げた。県内外で存続を求める声が強く、同関係者は「来年度ですぐに廃止というのは考えにくい」との認識を示した。

 自民党沖縄振興調査会の小渕優子会長は26日の会合で「社会資本整備はしっかり進展してきている」と説明。与党内でも「激甚災害が相次ぎ各地でインフラ整備が求められている。これ以上沖縄に公共事業を集中させるのは理解が得られない」との意見が相次いでおり、沖縄振興の優先課題ではなくなっている。

 代わって重要視されるのは「子どもの貧困」や「教育・人材育成」といったテーマだ。「沖縄子どもの貧困緊急対策事業」は19億円に増え、予算規模は過去最大となった。

 IT人材育成などに向け、新たに18億円の「沖縄産業競争力強化・人材育成推進事業」を創設を盛り込んだほか、県内製造業の競争力強化を図るために10億円、「沖縄型産業中核人材育成・活用事業」には4億円を求める。

 これらは内閣府が示した新たな沖縄振興策の「基本方向」や、自民党提言でも重点課題として取り扱われており、政府方針に沿った予算配分といえる。

 ほかに、離島活性化推進事業費(25億円)、北部振興事業(45億円)は、21年度当初予算からそれぞれ10億円増を求める。

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の関連経費は224億円、琉球大学医学部と同大学病院の移設が進む西普天間住宅地区(基地返還跡地)の整備費用は163億円でいずれも大幅増となる。