コンテナ確保事業の停止 事業者に困惑広がる 定番商品の輸出維持に危機感


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地上係員らによって旅客機へ次々と積み込まれる貨物=2020年9月、那覇空港貨物ターミナル

 県が8月から「航空コンテナスペース確保事業」を一時停止したことを受け、同事業を活用してきた事業者には困惑が広がっている。県は事業者らに対し、同事業を停止する場合、少なくとも1カ月前に周知するとしてきたが結果的に事業を一時停止する直前の7月30日に伝達した。事業者らは急きょ事業が停止されたことで、これまで築いてきた定番商品の輸出が維持できるかを懸念している。今後、県内を拠点とする輸出事業の拡大にも影響が及びそうだ。

 2017年ごろから、同事業を活用して全国の特産品などを那覇空港から輸出してきた県内事業者は、事業の一時停止により、2021年度に約1千万円の損失が出ると見込んでいる。これまで、青果を海外取引先へ安定的に供給するため、県外産と県産を併せて輸出してきた。同事業者は「夏期は県産野菜の収穫時期ではないので、どうしても県外産を調達しないといけない」と困った様子で話した。

 同時業者は、県が8月からの一時停止を通達した後、県外産野菜の仕入れ量を抑えているという。「今後は自分たちだけではなく、県外農家にも影響するだろう」と述べた。

 別の事業者も事業の停止で悲鳴を上げた。年間取り扱い量を産地別で見ると、全国の特産品が6割、県産品が4割を占める。キャベツやカボチャ、水産物など生鮮食品が多く含まれていた。同事業者は「数年かけて海外のバイヤーに提案し、定番化につながった生鮮商品がだめになるだろう。商売が成り立たない。直行便を早期に復活してもらいたい」と求めた。

 県商工労働部の担当は「ぎりぎりまで事業の中身を精査したため、1日前の伝達となった。事業者たちに迷惑をかけた。今後は丁寧に対応していきたい」と述べ、事業者らに「沖縄国際物流ハブ活用推進事業」の活用を促した。