沖縄への修学旅行8割減 20年は395校、7万人過去最少 県集計


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 沖縄県文化観光スポーツ部は27日、2020年(1~12月)に沖縄へ修学旅行に訪れた学校数が前年比83・5%(2003校)減の395校、人数は同82・8%(33万8597人)減の7万414人だったと発表した。新型コロナウイルスの拡大によって修学旅行の中止や延期が相次ぎ、毎年の集計が始まった1989年以降で学校数、人数ともに過去最少となった。

 これまでは米中枢同時テロの発生で、米軍基地がある沖縄への旅行は危ないという風評被害が広がった2001年(学校数が前年比31・6%減の1091校、人数が同31・9%減の20万6864人)に修学旅行の大きな落ち込みを記録したが、それを上回る過去最大の減少幅となった。

 調査は修学旅行の取り扱い実績のある旅行会社に県が照会して取りまとめたもので、全数調査ではない。

 20年の修学旅行を月別に見ると、1月に89校、2月に114校が訪れたが、新型コロナの拡大を受けて3月は1校だけ、4~9月はゼロだった。当初は20年の修学旅行数も19年並みで推移すると見込まれていたが、全国的な新型コロナの感染拡大によって、延期、中止を選択する学校が続出した。

 実施した学校の滞在日数は、3泊4日が244校(61・8%)で最も多かった。2泊3日が112校(28・4%)、4泊5日が37校(9・4%)、5泊6日以上は2校(0・5%)で続いた。宿泊先の市町村は那覇市が25・5%(185校)、恩納村が17・0%(123校)、本部町が9・8%(71校)だった。

 学校の種別では、高校が全体の87・1%を占める344校、中学が同9・9%の39校だった。出発地別では東京が61校、1万3504人で最多だった。

 沖縄への修学旅行は、沖縄戦について学ぶ平和学習や、自然体験、民泊体験など多彩な学習ができることから人気が高い。11年には、東日本大震災を受けて多くの学校が沖縄に振り替えたことから、学校数2686校、人数45万1550人と過去最高を記録した。少子化や海外への振り替えなどから、17~19年は3年連続で減少していた。

 21年についてもコロナ感染拡大の影響が続き、今年1月から8月11日に沖縄を修学旅行で訪れた学校は、県などが把握する分で前年同期間に比べ3分の1程度の67校、人数は約1万3千人にとどまる。

 県の担当者は「全国的な感染拡大が収まらないと難しい部分がある」と話し、修学旅行を延期している学校には感染状況が落ち着いた後に時期をずらして訪れるよう働き掛けている。