沖縄防衛局、辺野古で新たな護岸工事に着手 周辺サンゴ移植せず強行


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
大型クレーンで砕石を投入し、新たに工事が始まった「N2」護岸=27日午後、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ(ジャン松元撮影)

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は27日、大浦湾側の「N2」護岸の工事に着手した。新たな護岸の長さは250メートルで、完成後は埋め立て用土砂の運搬船からの土砂陸揚げに使用するとみられる。建設予定地周辺には、大型サンゴやショウガサンゴなどが生息しているが、防衛局は移植をせずに工事を進める方針だ。

 米軍キャンプ・シュワブ内の大浦湾側にある護岸建設予定地では27日午前、クレーン車を用いて砕石を海に投入する様子が確認された。投入した砕石はショベルカーで平らにならし、27日午後には砂浜の一角が砕石で埋め立てられた。護岸建設予定地の周辺水域には汚濁防止膜のフロートが3重に張り巡らされていた。

 小野功雄沖縄防衛局長は27日、日本共産党県委員会の抗議要請の場で「必要な準備が整い、石材の投入を始めた」と説明した。「普天間飛行場の1日も早い全面返還のため、移設工事を進めたい」と強調した。

 新たな護岸工事着手は2019年3月の「K8」護岸以来で、10カ所目となる。玉城デニー知事は27日の定例記者会見で「多くの県民から『認められない』と厳しい見方がされると思う」と批判した。護岸建設予定地周辺に現在も生息しているサンゴについて、防衛局は自ら設置した有識者会議「環境監視等委員会」で、独自のシミュレーションを根拠に移植をせずに工事に着手しても問題ないと判断。予定地に重なるサンゴ830群体は11日までに移植したが、高水温期の移植回避など県の許可条件をほごにして作業を強行した。