普天間飛行場、民間地なら経済効果7倍 「基地は振興阻害要因」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
米軍普天間飛行場(資料写真)

 宜野湾市の米軍普天間飛行場の軍用地と、基地外の市内民間地の経済効果を比較すると、民間地の方が7倍高いとの試算結果を沖大・沖国大特別研究員の宮田裕氏が20日までに、まとめた。それぞれ1ヘクタール当たりの基地関連収入と、民間地で生み出される1人当たりの総生産額を比較して試算した。浦添市の牧港補給基地(キャンプ・キンザー)では、民間地が10.9倍高かった。宮田氏は「米軍基地は、土地利用の観点から見ても産業振興の阻害要因だ」と指摘している。

 宮田氏の試算は、2019年度の宜野湾市の基地関連歳入額44億2601万円、地主に支払われた軍用地料76億3千万円を合わせた普天間飛行場の「基地関連収入」を120億5601万円と分析。この基地関連収入を同飛行場の面積(582.2ヘクタール)で割って、1ヘクタール当たりの基地収入を2071万円と試算している。

 一方、宜野湾市の17年度市内純総生産額2037億8500万円と市内の民間地1397.8ヘクタールを割ると、民間地の1ヘクタール当たりの総生産額は1億4579万円と試算した。1ヘクタール当たりの基地収入と総生産額を比較すると、経済効果に7倍の差があった。キャンプ・キンザーは1ヘクタール当たりの基地収入が2453万円、民間地の1ヘクタール当たりの純総生産額は2億6786万円となり、経済効果の差は10.9倍となる。

宮田裕氏

 宮田氏は「基地関連収入は税金投入であり、経済活動によって生み出された『価値』ではないので生産誘発や雇用誘発、付加価値誘発の産業連関効果はもたらさない。乗数効果のある経済、貧困のない沖縄をつくらなければならない」と指摘した。

 米軍基地の経済波及効果は県も異なる手法で試算している。普天間返還後すぐに生じる整備による経済効果は5027億円、返還から一定期間後に生じる経済効果は、返還前の32倍の3866億円と試算した。キンザーの場合は直後の整備による経済効果は3143億円、一定期間後には返還前の13倍となる2564億円と試算している。