「県の措置命令は違法」採掘業者、国に裁定申請 激戦地の土砂問題


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 沖縄戦跡国定公園内にある糸満市米須の鉱山での開発計画を巡り、県から採掘前に遺骨の有無を確認することなどの措置命令を受けた沖縄土石工業(永山盛也代表)が「県の措置命令は違法」として、国の公害等調整委員会(公調委)に裁定申請した。申請は13日付。
 公調委が受理した場合、1~2カ月後に事案の要旨を公示し、裁定委員会で審理する。自然公園法に基づく、措置命令の適法性が争点になる見通し。永山氏は本紙の取材に「第三者機関を通して法的にどちらの主張が正しいか、はっきりさせたい」「政治は排除して、法律にのっとって粛々と進めるべきだ」と県の対応を批判した。

 27日時点で公調委から県へ通知はない。同日開かれた知事の定例会見で、県の松田了環境部長は「今後、委員会から裁定申請の送達があった場合には、内容を精査した上で県の正当性を主張したい」と述べた。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設で、政府は埋め立てに使用する土砂の採取予定地として、本島南部も対象に計画している。

 沖縄戦の激戦地となった南部の土砂が埋め立てに使われる懸念があることについて、市民団体などは遺骨が含まれている可能性を指摘している。県は5月に措置命令を出した。

 公調委は公害紛争処理法に基づいて設置される。裁判外紛争処理機関の一つ。鉱業や採石業で行政処分に不服がある場合、法的な責任の有無などを明らかにし、紛争の解決を図る。