「具体的目標示された」 経済界は県の出口戦略を評価


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緊急事態の段階的解除について説明する玉城デニー知事=2日、県庁(代表撮影)

 県が2日、新型コロナウイルス感染症に関する経済活動再開に向けた規制解除の目安を発表した。新規感染者数が減少すれば、大規模施設への土日休業要請の解除などを段階的に実施し、まん延防止等重点措置に移行した後は、県の認証を受けた飲食店限定だが酒類提供を再開する方向性も示された。経済界は「出口戦略が示された」と一定の評価を下した。経済再興とコロナ沈静化を見据え、「それぞれの立場でできることを探ることが必要」と指摘する声も上がった。

 玉城デニー知事は2日の会見後、県庁に医療界と経済界の代表者を招き非公開の意見交換会を開いた。経済界から、医療界とは別に経済などの専門家からなるアドバイザリーボードの設置が提案されたという。

 県の認証を受けた店に限定した酒類提供などを求めてきた飲食業界は、県の方針を好意的に捉えている。県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長は「具体的数値で出口戦略を示してくれたことは評価したい」と声を弾ませる。「認証店がワクチンパスポートやPCR検査の証明書提示などを組み合わせれば、さらなる感染対策になる。新規感染者数を減らすためにも、休業要請を守らない店に対して再度厳しい姿勢で臨んでほしい」と訴えた。

 県社交飲食業生活衛生同業組合の下地秀光理事長も「ありがたいの一言だ」と歓迎する。ワクチン接種が進んでいることを挙げ、1日も早い飲食店の酒類提供が実現するよう改めて県に要望した。

 県商工会連合会の米須義明会長は、経済再開に向けたシミュレーションを示されたことを受け「感染者を抑制するためにはどういった対策が必要かという議論を県と進める段階に来たことは良かった」と話す。自身は県ボウリング場協会の会長も兼任しており、業界は土日の休業要請に応じている。「幸いにも今週に入って感染者は減っている。抑制が進む取り組みをより一層努力したい」と気を引き締めた。

 沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は、県がこれまで感染防止対策としてさまざまな措置を講じてきたが、新規感染者数はなかなか減らなかったことについて「県民や各事業者の間で、先行きの見えない中で自粛慣れや自粛疲れが広がっていた」と指摘する。2日の会合では、経済や社会活動の再開に向けた具体的目標を設定する方向性を初めて確認できたと評価し、「今後は目標を実現するために必要なアプローチを各分野ごとに検証し、着実に実行していくことが大事だ」と持論を述べた。