「オンライン接客」自宅で買い物 売り上げ回復へ デパートリウボウの戦略


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デパートリウボウの新サービス「オンライン接客」のイメージ。利用客はスマートフォンなどの端末を通して、自宅など遠隔地から従業員の接客を受ける=那覇市久茂地の同店

 新型コロナウイルス感染症による外出自粛の影響で苦境に立つ百貨店。那覇市久茂地のデパートリウボウでは、スマートフォンなどによるビデオ通話で遠隔地の客に応対する「オンライン接客」に力を入れる。端末を通して売り場の従業員と直接やりとりすることができ、さまざまな商品を見たり問い合わせたりすることが可能だ。百貨店を経営するリウボウインダストリーは「手数料もかからないので、自宅にいながら気軽にショッピングを楽しんでほしい」とアピールしている。

 リウボウインダストリーの2021年2月期決算は、売上高が前期比で40%近く落ち込んだ。不要不急の外出自粛が続く社会情勢の中、売り上げ回復へ独自サービスの強化が課題となっている。

 コロナ禍で客足が遠のく中、デパートリウボウでは写真共有アプリ「インスタグラム」を使ったライブ配信も昨年10月ごろから定期的に配信している。3月にスコーンの有名店「U.F.B」のリウボウ限定セットをインスタライブで告知した際には、予約開始から30分以内で80セットが完売した。

 こうしたSNSを駆使した戦略に手応えをつかむ中で、客と従業員が一対一で向き合う新サービスとして、6月にオンライン接客を始めた。

 利用する際は、店舗のインターネットホームページから予約する。予約が受理されれば、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使い、従業員が客の希望するコーナーや店舗で、商品の紹介や説明などに対応する。利用時間は40分。客は実店舗同様に無料で接客を受け、商品を買わなくても問題ない。購入後に商品配送を希望する際は客の負担となる。

 8月に県内の工芸作品を紹介する企画展を担当した浦﨑佐紀子さんは「カップを二つ購入希望だったお客さまが、食器のコーディネートを提案したこともあって7点購入していただいた。従業員が実際に手にとって説明するので、サイズ感も分かりやすいと好評を得ている」と話す。

 新サービスということもあり、オンライン接客の利用は月に10件程度という。多くが県外からの客のため、今後は県民に向けても広く周知したい考えだ。

 リウボウの広報を担当する仲宗根由美子さんは「ECサイトにない商品も取り扱うことができるのがメリット。実際のデパート内を回るように、気軽にオンラインサービスを利用してほしい」と呼び掛けている。問い合わせはリウボウインダストリー営業推進部(電話)098(867)1221。オンライン接客の予約は次のQRコードから。

(小波津智也)