沖縄戦で焼けた痕も…浦添のチャーギ救って 拡幅工事でピンチ 50年前に首里から移植


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戦禍を逃れた首里のチャーギを視察する波照間永吉教授(右から2人目)と城間加真さん(同3人目)=8月31日、浦添市前田

 【浦添】「首里の戦禍を耐え抜いたチャーギ(イヌマキ)の巨木が浦添にあった」―。前田重機会長の城間加真さん(81)が所有する浦添市前田のチャーギは直径約30センチ、高さは約7メートルある。生えている場所は道路拡幅工事の予定があり、城間さんは「首里中探してもこれほどのチャーギは無いと思うし、樹齢は300~400年あるのではないか。どうにか生かしてほしい」と願っている。

 首里城再建事業に関わる名桜大学の波照間永吉教授は8月31日、城間さんのチャーギを視察した。首里城再建の県産木材として期待したが、同行した専門家の意見を踏まえ曲がって生えているため使用は断念した。チャーギには沖縄戦の際に焼けた痕も残っており、波照間教授は「首里城再建の木材として使えないのは残念だが、戦禍を生き抜いた歴史的価値がある立派なチャーギだ」と評価し、首里城公園首里杜館広場への里帰り移植を提案した。

 チャーギは、城間さんが約50年前に那覇市首里山川町近辺にあった屋敷の解体工事を請け負った際、敷地内にあった。家主から撤去を依頼され「処分するのはもったいない」と枝を切り、トレーラーで運び、浦添市前田に移植した。当時から今と変わらない大きさだったという。

 今後は県に照会し、首里への移植などを検討する予定。チャーギを見た人からは「大変、味がある」と評価され、地域の人から欲しがる声もある。城間さんは「意義あることに使ってほしい」と語った。
 (関戸塩)