ウヴガーの清水が復活 改修祝いに児童らと継承を祈願 沖縄市・古謝自治会


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清水を取り戻したウブガーの祝い祈願に参加した古謝自治会役員、児童ら=4日、沖縄市古謝

 【沖縄】清水が復活―。沖縄市の古謝自治会(知念信恒会長)は9月4日、集落の発祥と深い関わりがあるウブガーの浚渫(しゅんせつ)と囲いの修復の完了を受け、自治会役員らが末永く保存することを祈願した。

 ウブガーは、子どもの誕生の際の産湯や身体を清め、名付けなどに用いた水をくむ井泉(せいせん)。古謝のウブガーは現在、住宅に囲まれる中、樹齢100年は超えると言われるクロヨナの巨樹がそばで枝を広げ、包み込むように神秘的な雰囲気が漂う。石灰岩ですり鉢状に築造され、四方は2メートル前後、深さは3.4メートル。

 囲んでいた鉄パイプが腐食し危険な状況にあったことから、旧盆前に切妻式の屋根を取り付けるなど改修した。30年ぶりに2日掛かりで浚渫に取り組み、落ち葉や土砂、小石など1立方メートル余りの堆積物を除去した。作業後、懐中電灯で照らすと底までくっきり見え、かつての清水がよみがえった。

 改修祝いには知念会長ら役員、近所の小中学生数人が参加した。神酒をささげ、古謝古典音楽愛好会が「かぎやで風」などを奉納演奏した。

 古謝は市内でも特に湧泉が多いことが知られ、拝所、御嶽、ビジュルなど民俗史跡の文化財ガイドマップも作成している。

 ウブガーは旧暦の1日と15日、区で欠かさず祈願する。役員の宮里リエ子さん(74)ら古謝クリーン会が毎月、清掃美化にも取り組む。

 参加した美東小4年の宮里結愛さんは「大切な場所と知った。大事に守っていきたい」と手を合わせた。

 知念会長は「自分もウブガーの世話になった。各史跡は集落の発展、住民の安寧を見守ってきた礎。しっかり保存、継承したい」と清水の回復を喜んでいた。
 (岸本健通信員)