米テロで打撃の故郷思い 沖縄の魅力を名古屋のラジオで発信し続け20年


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三線を手に沖縄の魅力を語る浜盛重則さん=8月24日、名古屋市にある東海ラジオのスタジオ

 名古屋市天白区で飲食店を経営する浜盛重則さん(71)=与那国町出身=は、沖縄の魅力を伝えるためにラジオ出演を始めて2021年で20年目を迎えた。01年の米同時多発テロが発生した後、米軍基地が集中する沖縄は観光客が激減した。手助けをしたいという思いから出演を始め、遠く離れた愛知県で故郷の話題や文化などを発信し続ける。「故郷が苦しんでいる時に自分にできることは何かを考え、三線の音色と共に、沖縄の魅力を伝えることにした」と振り返った。

 01年の米同時多発テロを受け、沖縄の観光客は激減した。「故郷が苦難に陥っているのがもどかしかった」と浜盛さん。02年4月、経営する飲食店の常連でテレビ局に勤務する友人から、ラジオで沖縄の魅力を伝えることを提案され、「沖縄の明るい話題を伝えて観光客を呼び戻したい」と受け入れた。同年6月からCBCラジオ(名古屋市)の番組内コーナー「チバリヨー沖縄」を担当。東海地区に浜盛さんの三線とトークが響き渡るようになった。「はいさーい。はまちゃんでーびる」。番組の冒頭からうちなーぐちを織り交ぜ、旧盆やハーリーなど沖縄を代表する文化や祭りを紹介した。

 「沖縄旅行を計画している」「三線の音色に癒やされる」。3カ月で終了予定だったが、視聴者からの反響もよく、15年続く長寿コーナーになった。浜盛さんは「故郷に何か還元できているようでうれしかった」と振り返る。現在は東海ラジオの番組に出演し、変わらず沖縄をアピールし続けている。

 これまで、6月23日や5月15日には沖縄戦や本土復帰についても触れてきた。一方で政治的な話は極力控えている。「多くの人に聞いてほしい。魅力を伝えることがテーマだった」からだ。一方で、近年の沖縄は観光客数で米ハワイ州と競るまでになり、「米軍基地の問題など、負の部分も伝えていきたい」との思いも強くなってきた。「沖縄を離れても私はうちなーんちゅ。多くの人に沖縄が置かれる現状や魅力を伝えるためにあと10年は続けたい」と目標を見据えた。

 (名嘉一心)