東京五輪で初めて採用された空手男子形で優勝し、全競技を通じて県勢初の金メダルを獲得した喜友名諒選手(31)=興南高―沖縄国際大出、劉衛流龍鳳会=に10日、琉球新報社からスポーツ栄誉賞が贈られた。贈呈式では栄光の瞬間を振り返り、個人形4連覇の懸かる11月の世界選手権への展望も語った。贈呈式での一問一答は次の通り。
Q.五輪を振り返って。
「多くの方の支えがあり、本番で思いきり自分の空手を発揮できた。メダルを通し、沖縄の子どもたちが目標に向かって進んでいく大切さを感じ、県民の皆さまに元気を与えることができていたらうれしい」
Q.重圧はあったか。
「オリンピックに向けて佐久本嗣男先生や清水由佳先生、同じ志を持った仲間と緊張感のある中で稽古をしてきた。普段の稽古風景が見えて、皆の思いをぶつけようという思いだった。本番ではテレビの解説者を務めていた清水先生の『今の立ち方いいですね』などの声も聞こえてきた。重圧はそこまでなかった」
Q.試合後の座礼は多くの人に感動を与えた。
「劉衛流の道場訓では『礼節を重んじる』ということが最初にある。佐久本先生とも本番前のミーティングで最後に礼をして終わろうということを話していた。思いを伝えることができて良かった」
Q.2年前に亡くなった母・紀江さんに報告は。
「沖縄に帰ってきて、実家の仏壇にメダルを見せに行った。その時に『優勝したよ』と報告した
Q.決勝ではオーハンダイを披露したが、当初はアーナンを希望していたと聞いた。その理由は。
「アーナンは佐久本先生が世界への道を切り開いていった時に使っていた形で、自分も一番思い入れが強い。当初は自分からアーナンで優勝したいと相談した。ただ、佐久本先生が優勝するために考えた形の順番を伝えられ、その中で思いきり勝負しようと本番に臨んだ」
Q.閉会式では日本選手団の旗手を務めた。
「前日に佐久本先生から伝えられて『本当に自分なのかな』と。歩いてる時は『落としたらいけない』と思って、試合より緊張していたかもしれない。試合も含め、自分の経験を子どもたちに伝えていきたい」
Q.11月の世界選手権では佐久本先生を超える4連覇が懸かる。
「さらに進化して次の試合に挑めるよう、一日一日の稽古を大切にしたい。団体の出場権を逃したことは悔しいけど、しっかり反省し、成長につなげる」