沖縄イベント情報ネットワークとみらいファンド沖縄が、このほど実施した「コロナ禍における沖縄文化芸能の現状調査アンケート」の分析結果を公表した。8月に公表したパフォーマー対象の結果に続き、舞台の裏方やイベント企画など文化芸能活動に従事するスタッフと、イベント施設への実施結果をそれぞれ発表した。2019年と20年の活動状況を比較した同アンケートからは、共に収入や公演回数の減少が見られ、芸能従事者を取り巻く環境のもろさが顕著に示された。
51人が回答したスタッフ編のアンケートでは、55%に当たる28人が半分以上の収入を失ったとし、活動回数が約8割減少している。またコロナ禍以前にスタッフワークを専業にしていた19人のうち6人が、別の仕事を始めたり、スタッフワークを辞めたりしていた。行政が実施した支援制度は75%が利用した。
自由回答欄には「スタッフが別の仕事に就いたり、所属していた会社を辞めたりしている。コロナが収束した後に優秀なスタッフが残っているのか心配」など技術の継承を心配する声が上がった。
イベント施設を対象にしたアンケートは、主にライブハウスや民謡居酒屋の経営者ら30人が回答した。56%に当たる17人が半分以上の収入を失ったとし、イベント回数はライブスペースがある飲食店とライブハウスで共に64%減少した。今後必要とする支援については、家賃や光熱費の補助などの意見が出た。
自由回答欄には「クラスター発生のリスクから、開催に慎重になる主催者が多くいる。イベントが減ると劇場の収入も減る。イベントはしてほしいが、コロナ感染者が発生したときの劇場やイベント主催者への打撃、負担もあり苦慮する」「休業要請、時短営業要請、酒類提供禁止、感染対策義務化等、収益悪化の施策を要請されているが、損害の補償は無く、協力金は足りず『お金が足りません』と言うと『借金してください』と言われる。『職業選択の自由=営業の自由』が束縛されているにも関わらず、損害補償はされないという理不尽を受け入れている」など悲痛な意見が並んだ。
沖縄イベント情報ネットワークの萩野一政理事長は「裏方スタッフはイベントが中止になると、パフォーマーや主催者以上に補償がなく、補償を求めづらい立場にある。また舞台がなければ練習もできず、技術低下が懸念される」と指摘。イベント施設はパフォーマンスを披露するために必要な場所だとし「施設維持への補助や、イベントでコロナが発生した際の対処方針を作成するなど、前向きにイベントを開催できる仕組みが求められる」と分析した。
アンケートの分析結果は、ウェブサイト「箆柄暦(ぴらつかこよみ)」で公開を予定している。
(藤村謙吾)