クルマエビのゲノム解読に初成功 生産量トップは沖縄、感染症対策に期待 OISTと東京海洋大


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ゲノム解読に使用した県産のクルマエビ(OISTマリンゲノミックスユニット將口栄一グループリーダー提供)

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)と東京海洋大などの研究グループは14日までに、クルマエビのゲノム(全遺伝情報)解読に初めて成功したと発表した。クルマエビ養殖の生産量は沖縄県が全国トップだが、ウイルスや細菌など病原微生物による感染症被害に悩まされてきた。研究グループは、クルマエビが病原体と戦う仕組みである「生体防御機構」の解明や感染症対策の研究、DNAマーカーの開発などに役立つことを期待している。

 これまでクルマエビのゲノムには、繰り返しの配列が多いことが分かっていた。研究グループは県産のクルマエビを使ってDNAやRNAを解析し、約2万6千の遺伝子を持っていることを明らかにした。また、「単純反復配列」と呼ばれる塩基の繰り返しの配列がゲノムの3割弱を占めることも分かった。

 研究グループによると、単純反復配列がゲノムの3割弱を占めるのは、他の動物ではほとんど見られないという。

 研究成果をまとめた論文は14日、アメリカ遺伝子学会の学術誌「G3」のオンライン版に掲載された。クルマエビは北海道南部から九州にかけて分布。クルマエビ養殖は県の重要な水産物の一つ。