自民総裁選4候補、沖縄との関わりは? 基地問題の持論と対応


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(左から)岸田文雄氏、河野太郎氏、高市早苗氏、野田聖子氏

 【東京】自民党総裁選(29日投開票)は17日の告示までに、岸田文雄前政調会長、河野太郎沖縄担当相、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4氏が出馬を表明した。このうち河野、岸田、高市の3氏が沖縄担当相を務めた経験がある。4氏の沖縄との関わりをまとめた。


河野氏/基地と振興策で議論呼ぶ

 河野氏は2020年9月から、菅内閣で行政改革担当相との兼務で沖縄担当相を務める。在沖米軍基地を「リソース(資源)」、リンク論が警戒視される基地問題と振興策を「ひっくるめる」と述べるなど議論を呼ぶ発言も目立つ。
 今年5月の本紙のインタビューでは、沖縄の「子どもの貧困」について持論を展開した。若年層の妊娠を「褒められる話ではない」と語り、性教育の必要性を訴えた。
 第3、4次の安倍内閣で外相、防衛相を歴任した。米軍普天間飛行場の移設問題では、名護市辺野古の新基地建設を推進する政府方針を追認している。

岸田氏/大学院大学の振興に注力

 岸田氏は2007年の第1次安倍改造内閣と、続く福田内閣で沖縄担当相を務めた。沖縄科学技術大学院大学の振興に力を注いだほか、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡る普天間移設措置協議会に出席し、当時の仲井真弘多知事から移設案の沖合移動など要望を受けた。
 第2次、3次の安倍内閣では外相を連続期間として戦後最長の4年8カ月間務め、辺野古移設を進めた。総裁選出馬に伴う政策発表会見では、「基地負担の軽減という観点から進めるべきだ」と政府方針を追認。日米地位協定の抜本改定には踏み込まない姿勢を見せた。

高市氏/第1次安倍内閣で沖縄相

 高市氏は、第1次安倍内閣の2006年9月から07年8月にかけて、沖縄担当相を務めた。
 就任直前に、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡り、現行のV字型滑走路建設で政府が名護市と合意した。当時の稲嶺恵一知事はV字案を拒否した。移設計画が迷走していた07年1月、高市氏は市の修正案を検討するよう塩崎恭久官房長官に直談判した。
 高市氏が自主的に取った行動だった点から、政府との足並みの乱れを指摘され、「閣内不一致だ」と批判を浴びた。総裁選出馬会見では、憲法改正に意欲を見せた。

野田氏/マルチメディア構想推進

 野田氏は郵政相、総務相、衆院予算委員長を歴任し、党内では総務会長などを務めた。菅政権で幹事長代行として政権運営を支えた。史上最年少で入閣した郵政相就任後、最初の訪問地に沖縄を選んだ。情報通信産業の集積を図る「沖縄マルチメディア特区構想」を推進した。
 ハト派の野田氏は2015年の総裁選で安倍晋三首相に対抗して名乗りを上げるなど、安倍氏と距離を置く。
 日米関係について自身のサイトで「最も重要な二国関係」と強調。「必要な場合には、日本の意見を米国に率直に伝える」と対米追従を否定する。