<ひと>那覇地検検事正に就任した平光信隆さん 2度目の沖縄「壁があるが諦めない」


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平光 信隆さん

 検事として捜査現場が長く「簡単に諦めず、最後まで粘り強く闘う」姿勢を大切にする。

 沖縄での勤務は2011年から2年間、那覇地検次席検事を務めて以来2度目で、「愛する沖縄の地に戻ってくることができて、心からうれしく、光栄に思う」と頬を緩めた。

 推理小説や法廷ドラマが好きで、法曹界を意識するように。当初は弁護士を志望していたが、司法修習時に検事の実務を経験し、被害者や目撃者、被疑者から話を聞いて真実を明らかにしていく仕事に魅力を感じた。「最も事件の真相に迫れるのは検事だ」

 那覇地検では尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件、東京地検では誤認逮捕が相次いだパソコン遠隔操作事件など、検事任官後は注目事件に多く携わった。「捜査は無駄も多い。真実に近づくために、好奇心を持つことが重要だ」と説く。

 那覇地検時代に最も印象に残っているのは、2011年に沖縄市で発生した交通死亡事故だ。運転していた米軍属は公務中で、立件は困難視されたが、日米地位協定の運用見直しを初適用し自動車運転過失致死罪で起訴。実刑判決が下された。「全庁一丸となって捜査を尽くした結果。地位協定に限らず、捜査にはさまざまな壁があるが、諦めないことが大切だと実感した」

 内陸の岐阜県出身で、海への憧れが強い。「沖縄は美しい自然があり、人も優しい」と絶賛する。「県内のゴルフ場は全て回った」という趣味のゴルフは、ベストスコア77の腕前。今回の赴任中に三線を弾けるようになることを目指す。54歳。