県産ハブ革、国内初エコ認定 ユーイファクトリー(南風原) 駆除、処分せず資源に 環境配慮、加工こだわり


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自社で加工したハブ革が日本エコレザー基準認定証を受けた「ユーイファクトリー」の幸地賢尚代表 =17日、南風原町新川

 沖縄県産ハブ革を材料に小物類などを製造・販売する「ユーイファクトリー」(南風原町、幸地賢尚(まさたか)代表)はこのほど、自らなめし加工する革が、環境負荷に配慮した「日本エコレザー基準(JES)」の認定を受けた。エコレザーは、持続可能な開発目標(SDGs)への関心の高まりを背景に注目を集めているが、ヘビ革の認定は国内で初めてとなる。

 日本皮革技術協会によると、エコレザーは製品の製造から販売、再利用などのサイクルにおいて、環境面への影響が少ない革材料を指す。認定には、天然皮革であり排水や廃棄物が適正に管理され、有害物質が基準値以下であることなど厳しい条件が課せられる。

 ユーイファクトリーは2008年に設立。ハブの皮をなめし加工して革に仕上げ、財布やかばん、キーホルダーなどを手作業で製造している。なめし加工には植物から取れるタンニンを使う。

 生態系を守るためにハブの養殖はせず、契約する6市町村で駆除されたハブのみを素材に使用するなどこだわりも見せる。

 幸地代表は「これまでは焼却処分されていたが、買い取ることで資源になる」と説明する。

 JESの申請は今年7月だが、13項目にわたる化学物質の検出を確認するなど時間に追われ、書類作成までに2年を要した。ただ、検出された数値はどれも低く、認定証では基準3段階で最も環境に優しいとされる「エキストラ」が適用された。今後、ユーイファクトリーの製品にはJESのロゴマークの使用が許される。

 幸地代表は「生態系や資源保護、環境への配慮を考えて革加工に取り組んできた。設立以来のこだわりが評価されたことがうれしい。認証関係者からも『子どもが口に入れても大丈夫』と言っていただいた」と笑顔を見せる。

 10月には中学校の授業でハブ革を使った工作を指導するほか、一般向けのワークショップも計画する。「ハブは悪者ではない。一番の駆除は草刈り」と強調しており、今後は「ハブを主人公」にした啓発活動にも力を入れたいという。

 幸地代表は「ハブの見方を少しでも変えていきたい」と話し、ハブとの共生へ思いをはせている。

 問い合わせは(電話)098(888)0126。(小波津智也)