言葉も心も、次代へ紡ぐ 「なくなったら寂しいさーね」 しまくとぅばの日 本村清子さん(82)宜野湾市 冊子自費出版、孫のため歌も


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冊子と下書きのスケッチブックを手にほほ笑む本村清子さん=16日、宜野湾市大山

 9月18日は「しまくとぅばの日」。笑顔はじける沖縄県宜野湾市大山の本村清子さん(82)はしまくとぅばの冊子を自費出版するなど、草の根でしまくとぅばの普及・継承に取り組んでいる。子どもの頃には標準語励行で方言札を掛けられた経験があり、40、50年は標準語しか話さなかったという。「なくなったら寂しいさーね」。しまくとぅばへの思いを込める。

 大山で生まれ育った本村さん。しまくとぅばが継承の危機にあることを知り、自ら使っていた言葉をまとめようと考えた。公園でお菓子を食べる子どもたち、洗濯物の取り込み方について語る親子など、スケッチブックに下書きした日常会話をまとめた。半年ほどかけてA4サイズ46ページの冊子に仕上げ、2017年8月に初版を出した。後半には自身の戦争体験も盛り込んだ。18年2月には読みやすいように標準語のルビを振った改訂版を出した。

 「うちなあぐち みいちから うふつまり」。3歳から大人まで誰もが使える言葉を意識したタイトルを付けた。挿絵は自ら鉛筆で描いたもので、味わいある温かみを醸し出している。

 標準語励行があった中学生の頃は「遊ぶ時もしゃべらなかった」という本村さん。その後、宮古島出身の英二さん(88)と結婚したこともあり、互いにしまくとぅばで会話することは少なかったという。

 今では日常的に使うように心掛けていて、結婚した孫のためにしまくとぅばと標準語を織り交ぜた歌「にーびちすがやあんまー」を作った。「うりや あんまー、たんめー」。絵に描いた母や祖母を紹介しながら、つないできた言葉を次世代に託した。

 冊子は2千円、中学生以下は1500円。問い合わせは(電話)098(897)9378。(仲村良太)