バスケ古豪・日大復活を指南、城間修平HCが求める人間力


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練習中、厳しい表情で選手たちの動きを見詰める城間修平HC=1日、東京都世田谷区の日本大学八幡山総合体育館

 4~7月に行われたトーナメント戦の第70回関東大学バスケットボール選手権で、15年ぶり11度目の頂点に立った日本大。大学バスケで最もレベルの高い関東で長らく優勝から遠ざかっていた古豪の復活をけん引するのは、西原町出身の元プロ選手、城間修平ヘッドコーチ(HC)(38)=文理学部体育学科准教授=だ。母校の指揮官となり6年目。全員守備やハードワークをテーマとした日々の指導が結実し始めている。

 豊見城中、北中城高でビッグマンとして全国を経験し、高校3年時には全日本ジュニア代表に選ばれた。日大3年時にインターカレッジを制覇し、卒業後の3年間はJBLやbjリーグでプレー。元々は「沖縄で中学や高校の教員として指導をしたかった」と言うが、母校からの誘いで2009年に日大のアシスタントコーチに。16年からHCとなった。関東選手権決勝の相手は昨年のインカレ王者の東海大だった。昨季はBリーグの特別指定選手としても活躍した河村勇輝や、NBAで活躍する八村塁を兄に持つ八村阿蓮らタレント集団に、粘り強い全員守備で対抗した日大。ロースコアの展開に持ち込み、61―57で競り勝った。

 「選手の頃からディフェンスが好きだった」という城間HCは指揮官に就任後、攻撃を武器としていた日大のチームカラーを刷新。選手たちに全員守備の意識を植え付け、今季は「ハードワーク」と「ノーエクスキューズ(言い訳をしない)」をチームの柱に掲げ、個の力強さと組織力を高めてきた。

 接戦を制した決勝について「強豪に対し最後まで自分たちのディフェンスをやり続けたことが勝ちにつながった」と振り返る。毎年オフの期間に本場米国やBリーグのチームを訪ねて戦術や練習方法の幅を広げ、指導者としての腕を磨いてきた。「やっとやりたいことが選手に浸透してきた。自分と選手が互いの考えを理解し、チームの幹ができている」と手応えを語る。

 高レベルな関東の各大学は「実力的に紙一重」と言うが、目標は秋の関東リーグで最低でも4強以上、集大成となる冬のインカレでの12年ぶりの優勝だ。「一日一日の練習を大事にしていきたい。オフェンスのスペーシングやリバウンドなど、改善すべきところはまだまだある」とさらなるレベルアップを誓う。

 指導で重視するのは技術や戦略だけではない。毎年有望な学生が全国から集まるが、卒業後にプロ入りできるのは数人ほど。「社会に出た時に『バスケ以外何もできないのか』と思われてほしくない。ミスをしても、しっかりそれを修正し、前を向いて進んでいく社会性を育てたい」と人間力の向上も促している。

 大学進学で沖縄を離れ、長い年月が経過したが、故郷への思いは枯れていない。「今も帰った時はお世話になったバスケ関係者にあいさつに行く。帰省時に母校で教えるようなことができれば面白いですね」と穏やかな表情で語った。
 (長嶺真輝)

関東大学選手権を制し、選手と写真に納まる城間修平HC(前列右から5人目)ら=7月(提供)