県種苗条例、年内にも制定 玉城知事が県議会答弁 伝統野菜や果実対象


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 主要作物や優良品種の種苗を沖縄県独自で保護する県条例について、玉城デニー知事は22日の県議会9月定例会代表質問で、年内の条例制定を目指す考えを明らかにした。喜友名智子氏(立憲おきなわ)の質問に対する答弁。県はこれまで農林水産部内の要綱としてサトウキビや甘しょなど主要品目の種苗を守ってきたが、条例制定により県の責務が明文化されることで、優良種苗の安定供給ができるようになるほか、新たなブランド品種の開発も期待される。

 条例には伝統的な島野菜や亜熱帯果実など、沖縄特産の品目も盛り込む方針。現在、条例素案を審議しており、10月中旬をめどにパブリックコメントを実施する。県農政審議会での審議を経て、県議会12月定例会への条例案提出を目指す。

 条例は(1)優良な種苗の安定供給(2)伝統的な野菜など在来種の維持管理(3)優良品種の開発―などを目的とする。県は各市町村や公的研究機関と連携しながら種苗の保存、生産、普及を行うほか、必要な財政措置を講じる。対象品種は精査中で、今後具体的に決める。

 種苗条例を巡っては、主要農作物の種子生産と農家への安定供給を都道府県に義務づけていた主要農作物種子法(種子法)が2018年に廃止されて以降、全国で都道府県独自の条例を設ける動きが進んでいる。県によると、21年3月末時点で27道県が同様の条例を制定しており、県内でも農家を中心に種子法の代わりとなる条例の制定を求める声が相次いでいた。