総裁選 沖縄県関係3氏に聞く 岸田、河野氏の沖縄政策注視


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自民党の沖縄選出・出身の衆院議員、左から西銘恒三郎氏、国場幸之助氏、宮崎政久氏

 【東京】自民党総裁選は29日の投開票に向けて、河野太郎沖縄担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行による論戦が本格化している。沖縄関係衆院議員の3人は西銘恒三郎、国場幸之助の2氏が岸田氏、宮崎政久氏が河野氏への支持を明らかにしている。それぞれの支持の理由や沖縄政策で望むことなどを聞いた。

西銘恒三郎氏(竹下派) 岸田氏支持 新振計に知見活用

 ―岸田氏の推薦人に名を連ねている。

 「4候補者のうち3人が沖縄担当相の経験者だが、(岸田氏は)その中でも特に沖縄への思いが深い。周囲の意見に耳を傾ける謙虚さも今の時代には必要だ」

 ―沖縄政策への期待は。

 「野党時代にも『美ら島議連』の活動を通して沖縄振興に関わり続けている。新たな振興策の議論にも参加しており、これまでの知見を生かしてくれる。台湾情勢など安全保障環境が厳しさを増す中、被爆地・広島の代表として平和のメッセージを発信していく役割にも期待する」

 ―辺野古問題、ミサイル防衛の考え方について。

 「米軍普天間飛行場の全面返還を実現する唯一の策だ。現在の安全保障環境を見ると、武力衝突を避けるための備えは必要だ」

 ―日米地位協定の改定には踏み込まない考えだ。

 「根本的な改定となると、日米同盟を見直さざるを得ない。外相時代に環境、軍属に関する補足協定締結を実現したのは、現実的な対応だった」

(聞き手 安里洋輔)

国場幸之助氏(岸田派) 岸田氏支持 沖縄振興へ具体策

 ―岸田氏を支持する理由は。

 「沖縄に心を寄せ続けている。沖縄担当相の経験があり、『美ら島議員連盟』の会長を務めるなど退任後も沖縄との関係を続ける。沖縄の声を国政に届ける取り組みを続けている」

 ―沖縄政策への期待は。

 「新たな沖縄振興策を話し合う党の部会にも参加し、議論を交わしてきた。民間投資を重視する考えを示すなど、実情を踏まえた具体的な施策がある」

 ―新型コロナ対策は。

 「県経済が打撃を受けている。岸田氏が公約とする『新自由主義的な政策からの転換』は、コロナで疲弊した沖縄にこそ必要だ。融和を基軸とする政治が求められている」

 ―辺野古問題について。

 「米軍普天間飛行場の移設は危険性除去、日米同盟堅持の観点から不可欠だ。一方で、他地域への訓練移転など過重な基地負担の軽減に向けた検討を進めるべきだ。安全保障政策は首相自ら国民、県民に丁寧に説明する必要があり、発信力に期待している」

 (聞き手 安里洋輔)

宮崎政久氏(竹下派) 河野氏支持 公庫存続に前向き

 ―河野氏を支持する理由を聞きたい。

 「国政上の最重要課題はコロナ対策だ。この正解のない政策課題を解決するために必要な決断をし、実行する突破力を備えている。発信力にも期待が持てる」

 ―沖縄政策への期待は。

 「沖縄担当相への就任前から沖縄に足を運び、県民の暮らしに長く寄り添っている。存廃が議論となっている沖縄振興開発金融公庫についても、コロナ禍で傷ついた沖縄経済の立て直しに向けて存続を前提とした検討が必要だと明言した。県民に必要な政策を実現しようとしている」

 「来年は日本復帰50年。コロナ禍から復活した上で、県民の暮らしをさらに豊かにしていく取り組みが必要だ。『子どもの貧困』の問題解決にもつながる労働分配率の上昇を促す政策に期待する」

 ―辺野古問題について。

 「米軍普天間飛行場の危険性除去は一刻の猶予もない。辺野古移設は危険性を除去する最も早く確実な方法だ。いろいろな意見があるが『命どぅ宝』だ」

 (聞き手 大嶺雅俊)