【記者解説】照屋県議パワハラ疑惑 防止策の徹底議論を 職員への威圧、全国でも


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
県議会一般質問で玉城デニー知事(右)ら執行部の方を向いて、パワハラ疑惑を否定しつつ県の対応を批判する照屋守之氏(左から2人目)=27日、県議会

 県立中部病院で発生した新型コロナウイルスの大規模クラスター(感染者集団)を巡り、電話で叱責(しっせき)された県職員が一時休職に追い込まれた問題で、沖縄・自民の照屋守之県議は27日の一般質問で、自身が発したとされる発言を否定し逆に県の対応を批判するなど質問時間をほぼ全て使い持論を展開した。

 今回のパワハラ疑惑では少なくとも、照屋氏の発言や態度で職員は「心理的圧迫」を感じ、心療内科で診断を受けたことは県の聞き取り調査などで示されている。一方、県側は照屋氏への確認や聴取をしないまま、照屋氏への厳正な対処と再発防止を求める公文書を県議会議長に提出した。まずは県議会として双方の意見聴取や事実関係の確認をすべきだったのではないか。

 県議には調査権、質問権が与えられ、県職員に対し優位な立場にある。与野党の中には今回の問題で議員の「調査権を狭める」との声もあるが、資料請求や事実関係の確認に、威圧的な言動をとることが果たして必要だろうか。

 照屋氏は議場で、問題が明るみに出て「自身の名誉を傷付けられた」などと繰り返した。一方で、「県庁内ならパワハラだと思う」と、威圧的な態度があったことを認める一幕もあった。自身の発言や態度が与える影響や受け取る側への配慮、想像力が著しく欠如していると言える。

 県執行部と県議会は「車の両輪」に例えられ、県民福祉の向上に寄与する責務がある。県民の負託を受けた議員が質問時間を使い、議場で自身のパワハラの事実関係を巡って県と対抗する姿は有権者の政治への信頼を失わせることにもつながりかねない。議員が行政職員に「圧力」をかける問題は全国的にも起こっている。今回を契機に、県議会はハラスメント防止に向けた取り組みを徹底して議論し、県民に対策を示すことが求められている。(池田哲平)