【東京】自民党総裁選に立候補している河野太郎沖縄担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4氏は、琉球新報の実施したアンケートで、新たな沖縄振興策や、基地問題など沖縄に関する政策を巡り、それぞれ独自の施策を打ち出した。7項目の政策について、それぞれの考えをまとめた。 (安里洋輔)
河野太郎沖縄担当相 子の貧困対策ベースに
―新たな沖縄振興にどう取り組むか。
「県民の声をしっかり受け取って実現していくことが重要だ。子どもの貧困対策や教育・人材育成が今後の沖縄の発展のベースになる。デジタル化を通じて支援が必要な子どもたちに地元行政が手を差し伸べ、英語や科学技術などの学びの機会を提供していく」
―辺野古新基地についての考え方は。
「普天間飛行場の危険性除去と日米同盟の抑止力の維持を考え合わせた時、唯一の解決策だ」
―コロナ対策と県経済の再生にどう取り組むか。
「ワクチン接種を確実に進める。水際対策を講じ、飲食店の入店やイベントに当たって抗原検査を簡便にする。沖縄でのテレワークの普及・推進、ICTなど産業の高付加価値化、高度化を進める」
―現政権の評価。
「沖縄の発展につながる振興策を着実に進めた」
―政治とカネの問題解決への取り組みは。
「政治資金の出入りが明確に分かるように仕組みを検討したい」
―日米地位協定の抜本改正は必要か。
「あるべき姿を不断に追求していく」
岸田文雄前政調会長 潜在力生かし未来描く
―新たな沖縄振興にどう取り組むか。
「沖縄の潜在力を最大限生かし、アジアとの架け橋になる沖縄の未来を描きたい。国民から理解と共感を得られる新たな沖縄振興であることが大切だ」
―辺野古新基地についての考え方は。
「日米両政府で唯一合意している移設案が、キャンプシュワブへの統合だ。SACO合意に基づく基地負担軽減に全力で取り組む。別案はない。離島国境を抱える沖縄の安全保障面も考えていかねばならない」
―コロナへの対応は。
「社会経済活動の再開に向けて電子ワクチン接種証明の活用と検査の無料化・拡充を図る。補正予算措置も必要。ポストコロナを見据えたIT、金融、物流、バイオなど新産業創出に力を入れる」
―現政権への評価は。
「コロナ禍で感染症対策と、GoToトラベルなどの経済対策の両立を図ったが、沖縄の爆発的感染で医療が逼迫(ひっぱく)し、難しいかじ取りだった」
―「政治とカネ」の問題への取り組みは。
「離党、辞職した議員についても党として説明責任を果たす。歳費返還法の設立に向けた検討を与党内で進めている」
高市早苗前総務相 コロナ時代の観光支援
―新たな沖縄振興への取り組みを。
「沖縄への成長投資を通じたICTの活用、研究開発の促進、人材力の強化などを実現し、地域産業の発展を後押しすることが重要だ。新時代に適応した振興策の策定を進める」
―辺野古新基地建設の考え方は。
「合理的な設計・施工が米軍普天間飛行場の早期返還に資する。現場状況に応じた効率的な施工を追求し適切な予算執行に努める」
―沖縄のコロナ対策は。
「ワクチン接種の円滑化、治療薬を投与できる環境整備を進める。ウィズコロナ時代にふさわしい観光産業の導入・発展を支援する」
―現政権の評価は。
「コロナの感染拡大阻止のためにまい進した。必要な対策を取ったが、酒類提供や県境を越える旅行の自粛など国民に政府として必要なお願いをし、県民に負担をお願いしたのも事実だ」
―日米地位協定の抜本改正は必要か。
「地位協定は日米安全保障体制にとって極めて重要だ。日米両国の課題やアジア太平洋地域の平和と繁栄の確保、国際社会の課題に取り組むために必要な在り方を米国と作り上げることが重要だ」
野田聖子幹事長代行 多様性強みに振興加速
―新たな沖縄振興への取り組みは。
「沖縄振興特別措置法で明記された『歴史的』『地理的』『自然的』『社会的』という4つの諸事情を強みに変える。沖縄ならではの『多様性』をエンジンにして振興を加速する」
―辺野古新基地建設の考え方は。
「普天間飛行場の運用停止は、周辺住民、県全体にとっても、マイナス面よりプラス面のほうがずっと大きい政策だ」
―コロナ対策は。
「ワクチン接種を一定程度達成し、経済活動を再起動する。海外旅行客を迎えられるよう多言語の情報発信、検査・医療体制の整備を進める」
―沖縄も攻撃対象にされるヘイトスピーチ、フェイクニュースへの対策は。
「世論誘導や差別の誘発、内乱を誘導するといった民主主義の弱点をついた攻撃だ。民主主義を脅かすものに対しては国民全体で協力して排除する」
―日米地位協定の抜本改正は必要か。
「他の地位協定と比べても日米それぞれの負担と恩恵もバランスがとれたものだ。負担と恩恵のバランスが変化した時に見直しの議論が必要になる」