【深掘り】リバウンド避けられる?まん延防止要請せず…沖縄県「独自措置」の効果は


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会見で県の方針を説明する玉城デニー知事=28日夜、県庁(代表撮影)

 政府が新型コロナウイルスの緊急事態宣言を全面解除したことを受け、玉城デニー沖縄県知事は県独自の措置を10月末まで実施するとした。県専門家会議は医療提供体制は依然として厳しいとしてまん延防止等重点措置への移行が妥当との判断を示していたが、玉城知事は政府に要請しなかった。

 県幹部は、重点措置への移行要請をしなかったのは、国と調整する中で県の要請に応じてくれないと察知したからだと説明。「あうんの呼吸だった」と語る。ただ、県独自措置は営業時間短縮要請に従わなくても過料など罰則を科すことはできず、重点措置と比べて効果は薄れる。玉城知事は28日の記者会見で「そこは政府の決定だ。政府の決定として受け止めて、県独自の対策をしっかりまとめたい」と政府方針に対する評価は避けた。

 県は同日午後6時半から対策本部会議を開いた。当初は会議時間を1時間と予定していたが、独自措置の期限について意見がまとまらず、会議が終了したのは午後9時すぎだった。県幹部は「素案は3週間の期限だった。だが疫学上、リバウンドの兆候が分かるのは18日ごろにならないと確認できないので、1カ月となった」と説明した。

 重点措置への移行要請について、菅首相は28日の会見で「地方自治体と連携しながら対応は決めた。『重点措置をどうしても』というところは結果的になかった」と述べた。

 一方、愛知県の大村秀章知事は24日に国から連絡があり、重点措置への要請はしないよう申し入れがあったと明かした。政府が地方の判断に「圧力」を掛けた構図とも言え、自民党総裁選など政治日程を控える政府中枢の意思が働いた可能性も否定できない状況だ。

 政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長は、分科会内では重点措置への移行を求める意見があったと明かしている。さらに、医療関係者は「専門家は全面解除は駄目だと意見は一致している。解除は政治家が言っているだけだ」と話した。

 県は感染対策の基準をクリアした認証店の支援に注力する方針だ。ただ罰則もないため、非認証店はますます県の要請を守る意欲が薄れていくとみられる。警戒レベル判断の指標の多くがいまだ「感染まん延期」にある中、感染対策を一定程度緩めてリバウンドは避けられるのか。感染再拡大への懸念は払拭(ふっしょく)できない状況だ。

 (梅田正覚)