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5度の優勝「確実に成長」 女子ゴルフ・星川ひなの 大学進学で深めた自信<ブレークスルー>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント ティーショットを打つ星川ひなの=2019年3月、南城市の琉球GC

 8月に行われたゴルフの日本女子学生選手権で、大会史上6人目となる2連覇を飾った星川ひなの(真志喜中―熊本国府高―日大4年)。高校卒業時には「プロで食べていける自信がなかった」と大学へ進学し、この4年で個人、団体を含め5度の優勝を勝ち取るなど輝かしい実績を残した。「4年間で確実に成長できたし自信も付いた」。進化した技術に、みなぎる自信を携え11月のプロテストに満を持して挑む。

■「プロになるため」

 ゴルフ好きな両親に連れられ、物心ついた時にはクラブを握っていた。沖縄で行われる、女子ツアーの国内開幕戦「ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント」には、学校を休んで観戦に行くほどだったという。高校進学のきっかけもダイキンだった。

 大会会場で、星川の父親が出会ったのがプロとして活躍する一ノ瀬優希選手の父で、元プロの喜一郎さんだった。喜一郎さんが熊本で指導をしていることを耳にし、指導を仰ぐため熊本の高校に進学した。

 「練習するのはプロになるためと思っていた」。夢をかなえるため、県外の高校に進学したが「(大会での)優勝には遠くて、少しでも上に食い込むとうれしかった」。同学年に今や飛ぶ鳥落とす勢いの稲見萌寧や、一つ上の学年には渋野日向子など黄金世代の選手が顔をそろえていた。レベルの高い選手を目の当たりにし「今のままだとプロテストも受からない。自信を持ってプロに行きたい」と迷わず大学へ進学した。

■みなぎる自信

 あまたのプロを輩出してきた日本大学では、プロコーチとして指導する内藤雄士氏の下で、ショットやアプローチ技術などを学んできた。中でも注力してきたのがコースマネジメントだ。8月に2連覇を達成した日本女子学生選手権でもその成果が発揮された場面があった。

 長距離のパー4の場面。グリーン手前にバンカーが設置され、2打では確実にグリーンに届かない。「どうせ届かないなら、刻んで自分の好きな距離で打つ選択」をし、最終日にはイーブンパーで切り抜けた。これまで無理に突破しようとしていたホールも「知識や戦略が増えた分、冷静に対応できるようになった」という。

 成長を強く実感したのは大学2年の時。19年4月のフジサンケイレディースクラシックで初めてプロの大会で予選を突破した。47位の成績を残し、アマチュア選手で最高成績を収めた選手に贈られる「ローアマチュア」を獲得した。そこからうなぎ登りに調子を上げた。同年8月の日本女子学生選手権で初優勝すると、10月のスタンレー・レディースは、首位と2打差の通算6アンダーで2位。19年は「何をやってもうまくいく。そうした自信がこの4年間の中で一番あった」と明かした。

 20年は新型コロナウイルスで軒並み大会が中止となったが、機と捉えた。「(ショットの)飛距離を伸ばすためのフィジカル強化」に取り組み、平均5ヤードの伸びを実現させた。

■夢の実現へ

 現在プロで活躍する選手と高校時代に同じ土俵で戦ってきたからこそ、分かるものがある。「大学でこれだけの実績を残しても、プロでは全然通用しない」。11月のテスト合格や、さらにその先を見据え追い込むように練習に明け暮れる。「たくさんの人に応援されるようなプロになりたい」。大学4年間で自信を深めた22歳が、人生の新たなステージへ大きな一歩踏み出す。

 (上江洲真梨子)