沖縄県民、新総裁への思いさまざま…「基地見直しを」「自民再生して」悲観と期待の声


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岸田文雄さんの自民党新総裁選出を伝えるテレビ中継を見る市民ら=29日午後3時すぎ、那覇市役所

 29日の自民党総選で、岸田文雄さんが新総裁に選ばれた。那覇市役所ではロビーに設置されたテレビを多くの市民が凝視し、首相指名が確実な岸田さんの第一声に耳を傾けた。安倍政権などで沖縄担当相や外相を務め、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を推し進め、沖縄政策に関与してきた。「顔をすげ替えただけだ」「自民党が生まれ変わるきっかけに」。県民からは期待と悲観する声が入り交じる。

 新基地建設に反対するためキャンプ・シュワブのゲート前での抗議活動に参加した金城武政さん(64)=名護市辺野古=は「候補者全員が新基地推進の立場で、全く期待が持てなかった。派閥争いに終始しただけだ」と渋い表情を浮かべた。「コロナ対策や森友・加計学園問題など失策や疑惑を総括することもしない。しばらく政権運営を休んでは」と政権交代に期待した。

 宮古島市役所を訪れていた上里好恵さん(62)=宮古島市=は、衆院選が控えている点を挙げ「結局、菅さんのままだと不利だからと顔をすげ替えただけじゃないか」と指摘した。その上で「生活を良くするとか、コロナ対策をどうするかとか本当に取り組んでほしいことに汗を流してほしい」と語った。

 糸満市の金城盛憲さん(67)は辺野古新基地建設の抗議行動に参加する。「期待していない」と一蹴した。「誰がトップになっても、沖縄の平和を求める思いは変わらない。埋め立て中止を訴えていく」と強調した。

 那覇市役所で用事を済ませ、パレットくもじ前でバスを待っていた新本留美子さん(67)=那覇市=は「外務大臣の経験があるから外交をうまくやってほしい。(発がん性が指摘される)PFOSの問題など、米軍はやりたい放題。基地政策を見直してほしい」と話した。

 パレットくもじ前でバスを待っていた50代会社員男性=那覇市=は「党役員の若手起用などを訴えていたので、自民党が生まれ変わるきっかけになると思う」と自民党に新たな風が吹くことを期待する。沖縄振興については「沖縄の発展は日本の発展につながると思う。基地問題とリンクさせるのはやめてほしい」と話した。