遺骨土砂、意見書可決も 具志堅氏要望書に全国議会から返信


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沖縄本島南部の土砂を新基地建設の埋め立てに使わないよう、国への働き掛けを求めたガマフヤーの要望に対し、全国の議会から届いた返信の一部

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古新基地建設の埋め立てに沖縄本島南部の土砂を使用する計画の断念を求め、全国1743の県議会・市町村議会に意見書の可決を促す要望書を送った沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表のもとに、各議会から返信が届き始めている。9月29日時点で100通ほどの返信があった。多くの議会は要望書の議長預かりや議員配布にとどまっているが、要望通り意見書を可決した議会もあり、具志堅氏は手応えも感じている。

 要望書は7月に一斉送付した。沖縄県議会が可決した意見書に加え、平和の礎に刻銘された都道府県別の犠牲者数も資料として添付した。この要望書により、沖縄で起きている問題を地元に引きつけて考える議会も出ている。

 北海道の占冠(しむかっぷ)村議会は要望書を受けて常任委員会で審議した。同議会事務局によると、委員会の議論で同村出身者が沖縄戦に参加し、遺骨が見つかっていないという情報があることが判明。議員提案で意見書を本会議に提案し、全会一致で可決した。

 ただ、占冠村議会のように郵送で送られた要望書をもとに審議する議会は少なく、多くは本格的な議論に至らない。具志堅氏は「今後は地元の人が議会に陳情するような動きが必要になる」と、効果的な働き掛けの方法を思案中だ。

 全国各地から沖縄戦に派遣され、犠牲となった日本兵は約7万7千人。その遺骨が眠る南部土砂を埋め立てに使うことについて、具志堅氏は「基地の賛否ではなく人道上の問題。基地問題に絡め取られず考えてほしい」と訴えている。