富士大主将の山城響 打撃で勝負強い万能選手<球界への挑戦―10・11ドラフト>1


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 プロ入りを希望する選手に義務づけたプロ志望届の提出が9月27日に締め切られ、県勢は7人が提出した。新たなステップを目指す選手の思いやプロを意識したきっかけなどを紹介する。ドラフト会議は10月11日に行われる。

富士大✕岐阜聖徳学園大戦の山城響選手/ 全日本大学選手権 富士大―岐阜聖徳学園大 3回表、2点本塁打を放つ富士大・山城響=6月7日、東京ドーム(東京新聞提供)

 プロ選手を多く輩出する東北の強豪・富士大(岩手県、北東北大学連盟)で主将を務める山城響はリーグのベストナインを遊撃、二塁、外野と三つのポジションで受賞したオールラウンダーだ。今春のリーグでは最多本塁打と最多打点も加わり、実力は折り紙付き。「プロに入ってからが、本当のスタート。活躍し続けられる選手になる」との青写真を描き、夢の球界入りに名乗りを上げた。

 プロ入りを強く意識したのは大学3年。2年の冬から本格導入したウエートトレーニングや栄養を意識した食生活改善が奏功し、3年の春から打撃が目に見えて向上した。コースに逆らわない打撃や、内外を意識したスイングが身につき「フィジカルの強化で長打力も上がり、打撃に手応えが出てきた」。甘い球を一発で仕留める打撃力、長打力には自負がある。

 最上級生になると一球、一打に対する意識がより高くなった。「勝つことが当たり前のチームでプレッシャーはあるが、プレーでチームを引っ張る」。責任感の強い山城らしいプレーは、ここぞの打席で勝負強さを発揮する。

 今夏の全国大学選手権、岐阜聖徳学園大との初戦は3番・二塁手で先発。1点を追う三回2死一塁、外角への変化球を捉えて右越え2点本塁打で逆転に成功。打線に火を付けるには十分な一発で、勝利に貢献した。2回戦の国学院大戦で敗れたが「注目度も高い大会で、悔しさもあったがすごく楽しい瞬間だった」と球場の雰囲気や盛り上がり、興奮を鮮明に思い出す。

 目下の目標は、開催中の秋季リーグでの優勝だ。「大会で結果を出せれば自然とプロにもつながる」とアピールを忘れない。凜とした空気をまとう富士大のスラッガーは運命の日を待ちわびている。

(上江洲真梨子)


 やましろ・ひびき 1999年4月7日生まれ、南風原町出身。180センチ、86キロ。内外野どちらもこなす右投げ左打ち。北丘小―南風原中―知念高。父の影響で小学3年から野球を始めた。3兄弟の長男。一つ下の弟裕飛も富士大所属。

 

北東北大学野球春季リーグ戦で2季連続優勝を飾った富士大の山城響主将(前列右から4人目)ら(本人提供)