「検疫」遅れる那覇空港、国際線再開できる? 海外航空の半数が就航見通せず


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 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB、下地芳郎会長)はこのほど、海外航空会社など23社を対象に、那覇路線の再開、新規就航の意向などを調査した。回答があった20社のうち、那覇空港で国際線が再開した場合は6カ月以内に就航したいと希望するのは4割の8社にとどまった。半数は就航時期を見通せておらず、観光旅客率が高い那覇路線の収益性や空港の検疫体制など、那覇空港国際線の早期再開に向けた課題が浮き彫りとなった。

 OCVBは「国内外の他空港と競争環境にある現状では、那覇空港国際線の早期再開に向けた取り組みの必要性が非常に高い」と指摘。その上で「現状は国内の幹線空港の中でも那覇空港のみ体制が確立されていないため、競争に遅れをとる。再開の第一歩は検疫体制の確立」として、国際線再開に必要な課題の整理に取り組む方針を示した。

 OCVBは那覇空港国際線の早期再開に向けたプロジェクトとして、大阪航空局那覇空港事務所や那覇検疫所など関係団体との意見交換会を10月中旬に開催する。年内をめどとした国際線再開を国や県に要請していく方向性について、経済界や観光業界団体とも合意形成を進める。

 海外航空会社へのアンケートは7月9~19日に実施した。

 「旅客制限があっても復航または新規路線を開始したいか(貨物便も含めて)」との設問には、半数以上が那覇路線に就航したいという意向を示した。だが、就航希望の時期については半数の10社が、新型コロナ感染状況次第などとして明確な時期を示すのを控えた。那覇空港で国際線が再開しても、自社が就航するまで1年要するという見方も2社あった。

 海外から沖縄を訪れる国際路線の利用者は9割以上が観光客となっている、ビジネス渡航から観光渡航へと段階的な渡航制限や検疫条件の緩和が見込まれる中で、海外航空会社にとって沖縄路線への就航は、採算性が見込めるだけの旅客を確保するのが当面は難しいという判断がある。日本や自国の検疫条件も再開の目安として挙げられた。

 一方で、那覇路線の早期就航は難しいものの、同路線の重要度が「重要」と「高い」と答えた航空会社は6割の12社に上っている。下地会長は「路線再開までにハードルはあるが、今のうちに準備をしたい。状況が変化すれば、すぐ対応できるような体制を整えたい」と話した。