【識者評論】緊急宣言解除で需要増への対応が課題に(武田智夫りゅうぎん総研常務)


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 今回は全国一斉の解除で、当然ながら観光客や県民の人の動きが活発になり、経済的にはプラスになる。需要は確実に増加する。一方で、緊急事態宣言が4カ月以上と長期化したこともあり、観光や飲食、イベントなどでしばらくは供給を需要が上回り、これまでとは逆のギャップが生じることが考えられる。受け入れ体制を整えられるのかが課題となる。

 例えばホテルでは人が足りず予約を断ったり、レンタカーでは増車をためらって需要を満たせなくなったりするという事態が考えられる。移行期間をどう乗り切るかが短期的な課題と言える。

 企業にとっては受け入れ体制を元の水準に戻して良いのかというジレンマもある。昨年も観光需要が回復基調となった後に感染が再拡大し、年末年始に人の流れが制限されるなど打撃を受けた事業者も多い。

 行政には、企業の不安を払拭(ふっしょく)することが求められる。今後も感染の山と谷を繰り返しはすると思うが、再度緊急事態宣言などになった時にも経営支援を素早くする方針をしっかり示せば、企業側にも安心感が出て雇用や投資が加速すると思う。


 4カ月以上にわたり沖縄県に発令されてきた新型コロナウイルス緊急事態宣言が解除された。解除後も独自措置として1カ月程度は時短営業などの制限が続くものの、飲食店などで酒類提供が認められるなど、社会経済活動の回復に向けた動きが進む。県経済の回復に向けた課題を識者に聞く。