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琉球コラソン3年目の村田龍 次世代エースへ頭角 「チーム勝たせる選手に」<ブレークスルー>


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福岡を迎えて開催されたホーム開幕戦で、積極的にゴールを狙う琉球の村田龍=9月18日、豊見城市民体育館(大城直也撮影)

 日本ハンドボールリーグの琉球コラソンに入団して3年目。トライアウトを経てリーグへの挑戦を始めた生え抜きの村田龍(東海大出)が、次世代エースとして頭角を現してきた。東京都出身の24歳。大学時代は思うような活躍ができず、卒業と同時に競技を終えることも考えたが、一念発起してプロの世界に飛び込んだ。環境が変わりトップ選手にもまれる中で急成長を遂げる。「チームを勝たせられる選手になりたい」と誰もが認める“エース”を目指し、低迷するチームの浮上を誓う。
 

■主力としての自覚
 

 8月に開幕した2021―22シーズン。チームはこれまでに4戦し、1勝3敗と勝ち星に恵まれていない。それでも村田は4試合でチームトップの27得点。全てフィールド得点で、リーグの同ランキング5位に付ける。決定力の高さを示すシュート率も0・711で4位に入り、リーグ上位陣の選手に引けを取らない勝負強さを見せている。
 

■競技続行の決意
 

 主力としての自覚が芽生えたのは2年目の昨季途中。得点源だった棚原良の移籍で意識が変わる。柱だった選手の穴を埋めるべく自身の役割を見つめ直した。より積極的なプレーを心掛けるようになり、徐々に得点力も上がって計57点まで積み上げた。

 名門の横浜創学館高でインハイ4位を経験し、当時最強だった興南とも対戦した。国体では準優勝も成し遂げた。その後、東海大に進学し、4年時には主将を務めるなどチームを引っ張った。しかし成績は振るわず。そのまま引退する予定だったが、最後の試合で1回戦負けし悔しさが膨れあがった。「このままでは終われない」。急きょ卒業後に受け入れてもらえるチームを探し、コラソンへ入団するチャンスをつかんだ。

 「やるからにはトップ選手に」と決意を固め、1年目からアピール。同じ年に海外のクラブチームも経験した東江太輝が湧永製薬から移籍してきたことも大きかった。元日本代表の石川出ら百戦錬磨の先輩たちらと練習を重ね、大学では得られなかった技術や戦術などへの理解も深まり「まだまだやれる」と自信を高め向上心へとつながった。
 

■磨く突破力
 

黄慶泳監督の指導を仰ぐ村田龍(左から2番目)や琉球コラソンの選手ら

 武器は1対1からの突破力だ。仲間たちも「殻を破った」と認める鋭い動きでわずかな隙間にも果敢に突っ込む。一度も大きなけがはない持ち前の丈夫さや体幹の強さで才能を開花。今季は上位で高さのある大崎電気相手にもしっかり勝負ができた。厳しいマークにも体勢を崩さずシュートまでいく力が、相手にチームに脅威となっている。

 今季から指揮を執る黄慶泳監督も「総合的なマルチプレーヤー」と評し、期待値は高い。守りでもハードワークをこなせる豊富な運動量を土台に、開幕戦から一人だけほぼフル出場を続ける。黄監督は現時点でのチームのエース格としては経験値や実績から、石川や東江の名を挙げるが、村田は「チームを引っ張らないといけない存在」と断言する。その上で「存在感はまだまだ。ライトバックだけでなく、センター、ポストまで活動範囲を広げてほしい」と求めた。

 他チームのエースと比べ175センチと高さは劣るが、村田は「やれる自信は付いてきた」と力を込める。大学時代のくすぶりを取り返すように「負けたくない」と闘争心をむき出しにし、同世代の日本代表への負けん気をあらわにする。チームは現在暫定10位だが、シーズンは始まったばかり。「チームに代表選手はいないけど、チーム力で劣っている気はしない」と上位チーム打倒を目標に、さらなる成長を期す。

 (謝花史哲)