高校野球の第71回県秋季大会第4日は2日、3球場で2回戦8試合を行い、中部商が美里工との激戦を制し8―7で、具志川は浦添商に2―1でそれぞれサヨナラ勝ちを収めた。ウェルネス沖縄は知念に10―0で零封勝利、小禄は18―5で開邦・南部農林・真和志・浦添工に快勝、沖縄水産は3本塁打を含む16安打で那覇国際に12―9で大勝した。そのほか興南が八重山に10―3、沖縄工が首里に8―7、名護が向陽に9―2で勝ち、3回戦に進んだ。3日は2回戦の残り8試合を行い、16強が出そろう。
中部商・松川 初球振り適時打 自ら招いた危機しのぐ
一瞬の気の緩みがピンチを招いた。中部商は7―2とリードで迎えた九回表の守備。力投を続けていた松川心の手元が緩んだ。「勝ち焦りからあまり腕が振れていなかった」。相手の先頭にソロ本塁打を浴び、一気に形勢逆転。悪い流れは守備にも波及する。失策、連打で一気に畳み掛けられ、2点差まで迫られた。
なおも2死一、二塁。マウンドに集まったナインが松川に声を掛けた。「走者はかえしていいから、バッターに集中して一つずつアウトを取っていこう」。グラウンドに立つ全員が1球に集中力を高める。続く5番打者に2点適時打を放たれ同点となり、一打逆転のピンチ。
ここで守備が見せる。6番打者の右前打を、右翼の伊差川颯太、一塁の知念豊歩とつないで本塁にストライク返球。突っ込んできた二走をタッチアウトにして難をしのぎ、良い流れを取り戻して最終回の攻撃につないだ。
「自分のミスには自分でけりをつけるつもりだった」という松川にとって願ってもない打席は九回2死三塁。初球を振り抜いて左中間へのサヨナラ適時打。松川は拳を掲げたままベンチに戻り、仲間と雄たけびを挙げて全身で勝利を喜んだ。
(上江洲真梨子)
仲間激励で勝ち越し
○沖縄工 七回に勝ち越し打を放った儀間朝尚 コロナ禍での自粛中も各自でバットを振り込んできた。取られても打ち勝とうとやってきた。それができたと思う。勝ち越しのバッティングは仲間の励ましがあって、いい雰囲気で送り出してくれたおかげだ。
当然のことできず
●首里 1点差負けに肩を落とす松田桂哉主将 ボール球に手を出し、エラーも四つ。当たり前のことができなかった。勝っていても負ける雰囲気になり、ピンチの時にもっと沈んでしまった。どんなに苦しくても笑って切り抜けるチームにしてきたい。