新市民会館「なはーと」に期待 誰でも楽しめる劇場に 伊佐尚記(那覇・南部班)


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written by 伊佐尚記(那覇・南部班)

 那覇文化芸術劇場なはーと(新市民会館)が31日、那覇市久茂地に開館する。「感動を共有する文化の薫り高い芸術創造発信拠点」を基本理念に、市民参加型の作品づくりなど多彩な事業に取り組む。こけら落としは、沖縄の要素を取り入れた狂言「唐人相撲(とうじんずもう)~なはーと編~」などを上演する予定だ。今から楽しみにしている。

那覇文化芸術劇場「なはーと」=那覇市久茂地(資料写真)

 旧市民会館は芸能担当時代によく訪れた。数々の名舞台が目に焼き付いている。沖縄芝居の名女優・伊良波冴子さんらが2016年に上演した「奥山の牡丹(ぼたん)」もその一つだ。伊良波さん演じる主人公が息子のために犠牲になる場面は、伊良波さんの小柄な体から母性愛があふれ出し、広い会場を包み込んでいくように感じた。

 琉球新報社と沖縄芸能連盟が同年に開催した熊本地震被災地支援チャリティー公演で、照喜名朝一さん、西江喜春さんの歌三線に乗せて宮城能鳳さんが踊った「ナークニー・汀間とぅ」も忘れられない。なはーとでもこれから多くの名舞台が生まれるのだろう。

 一方、県脊髄損傷者協会と那覇市身体障害者福祉協会は8月、なはーとのバリアフリー設備について市に改善を要望した。市は開館に向け、できることから対応していくという。障がいの有無などにかかわらず、誰もが文化芸術に親しめる劇場になることを期待している。

(那覇市担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。