豊見城高の垣花琉陽 最速145キロの技巧派右腕<球界への挑戦―10・11ドラフト>4


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選手権沖縄大会 沖縄水産―豊見城 141キロの直球を投げ沖水打線を零点に封じる豊見城の垣花琉陽=7月13日、沖縄市のコザしんきんスタジアム

 低く丁寧に緩急付けた投球で、今夏の高校野球選手権沖縄大会で33年ぶりに豊見城を4強まで押し上げたのは、技巧派の垣花琉陽だ。最速145キロの直球に加え夏に向け磨いてきたツーシームなど4種の変化球を巧みに操り、夏の大会5試合をほぼ一人で投げ抜いた。「去年の秋、興南に延長で負けたから3年の夏も頑張ることができた」。敗戦をきっかけにはい上がった垣花が、夢のプロへ歩みを進める。

 昨年の県秋季大会、3回戦の相手は強豪・興南。エース番号を背負った垣花は先発を任された。初回に失点したが、打線が五回に追いつき1―1で延長戦へ。体力は限界だった。「変化球も直球も合わせられていてどの球種でも打たれたと思う」。十一回の無死三塁、甘く抜けた直球を中超えに運ばれ力尽きた。

 延長までもつれる接戦を展開できたことで、投球に自信が付いた。一方で「最後は自分のせいで負けた。悔しさの方が大きかった」とも。新たな闘志に火がついた。

垣花琉陽

 冬は肩の可動域を広くするトレーニングに励み、これまで投げていなかったツーシームなど変化球を中心に投げ込んだ。体力不足による失投を防ぐため、走り込みや体幹トレーニングも実施。厳しい練習に耐え、130キロ台後半だった直球は、3年の夏には145キロまで伸びた。今夏の選手権沖縄大会の準々決勝は興南との再戦となり、5―3の逆転勝利を収めた。「リベンジできたのがうれしかった」と語る。

 プロへの野望は大きい。指名がかからなかった場合も「周りも応援してくれているので大学で頑張って4年後また挑戦したい」。日本中を沸かせる「打者を圧倒する投手」になるため、鍛錬を重ねる覚悟だ。

(上江洲真梨子)


 かきのはな・りゅうひ 2003年12月10日生まれ、178センチ、75キロ。右投げ右打ち。仲井真小―仲井真中出。三つ上の兄の影響で小学2年から競技開始。145キロの直球と決め球のスライダーなどを混ぜた緩急ある投球が魅力。憧れの選手は森下暢仁(広島)。