最低賃金審議の資料にミス 沖縄審議会で使用、結果に影響なしと再審議せず


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 8日に発効される2021年度沖縄地方最低賃金を巡り、沖縄労働局は6日、最賃の引き上げ額を答申した沖縄地方最低賃金審議会(島袋秀勝会長)で使用した資料にデータの誤りがあったと発表した。月平均賃金額と月1人当たり労働時間数が、正しい数値の約10分の1で記載されていた。一方で同審議会は、誤りのデータは審議結果に直接影響を及ぼすものではないとして、再審議は行わないことを確認した。沖縄地方の最低賃金は予定通り、時給が28円引き上げの820円となる。

 審議会が8月12日に引き上げ額を沖縄労働局長に答申した後に、委員からの指摘で誤りが判明した。

 厚生労働省から提供された集計用アクセスファイルを出力する際の不具合により、1日の所定労働時間数が正しい数値の約10分の1となってしまったのが誤りの原因で、月平均賃金額と月1人当たり労働時間数も実際の約10分の1と表示された。

 誤った資料では、全産業の合計で月平均賃金額が「1万6824円」(正しくは「17万667円」)、月1人当たり労働時間数が「14時間」(正しくは「141時間」)などと記載されていた。ただ、最賃引き上げによる影響率などに関わる部分は正しく記載されていたという。沖縄労働局によると、同様の誤りは複数の都道府県で判明しているとみられる。

 沖縄労働局が委員からの要望を受けて作成した男女別、年齢別の賃金分布資料は、誤って確定版ではなく暫定版のデータを使用していたことから、労働者数を含め全面的に誤っていた。

 島袋会長は、事務局の沖縄労働局に対して「誠に遺憾だ。最低賃金を決定する上で極めて重要な資料で、誤りは審議をミスリードし、労働者の生活に大きな影響を与える。猛省してほしい」と指摘した。

 沖縄労働局の西川昌登局長は「県内の労働者の賃金実態を把握する上で大変重要な資料で、誤りを生じさせてしまい、大変申し訳ない」と謝罪した。