九州共立大の宜保優 走力高く内外野もこなす<球界への挑戦―10・11ドラフト>5


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打撃フォームを修正して挑んだ大学最後の秋季リーグで、結果を残した九州共立大の宜保優(同大硬式野球部提供)

 「兄弟でプロ野球選手になる」。九州共立大の宜保優は、オリックスで活躍する弟・翔に負けない身体能力の高さを武器に、プロ志望届を提出した。50メートル6秒台の走力で内外野を守れる器用さも持つ。「自分の長所を一番生かせるポジションで、最大のパフォーマンスを発揮する」とドラフト会議を迎える。

 一つ下の弟・翔がオリックスに入団したことでずっと夢だった“プロの世界”が身近になった。18年10月、その瞬間を宜保は大学の寮で見守った。選ばれた時は「正直うらやましい、悔しいっていう思いがあった」と複雑に揺れた胸中を明かす。ただ、そこから強烈に芽生えた「自分もプロに行きたい」との思いは、大学生活を大きく変えた。

那覇高で主将を務め、3番・遊撃手として活躍した宜保優=2016年10月、コザしんきんスタジアム

 トレーニングや技術の勉強にのめり込み、大学で受講する身体構造や物理学までも野球に還元する。学んだことを「実際にプレーに落とし込み、考えて野球をするようにしている」と論理的なプレーを心がける。

 3日に閉幕した福岡六大学野球秋季リーグ。大学最後のリーグ戦、宜保は5番・一塁手で出場した。チームが掲げる目標の優勝を達成するため、打撃フォームを修正して挑んだ。体重移動をコンマ数秒遅くすることで下半身の力が打球に伝わるようになり、さまざまな球種にも対応できるようになった。「この4年間で最も調子が良かった」と自信をにじませる。結果は準優勝と悔しさは残るが、すがすがしい雰囲気を漂わせる。

 運命の11日を前に「今まで通りのトレーニングと勉強をするだけ」と落ち着いている。兄弟そろって、全国から脚光を浴びる舞台へ。自身が立てたその夢を現実にするため「どのポジションを任されても結果を残し、活躍できる選手になる」。挑戦は始まったばかりだ。

(上江洲真梨子)


 ぎぼ・ゆう 1999年7月29日生まれ、豊見城市出身。右投げ右打ち。179センチ、80キロの内外野手。とよみ小―長嶺中―那覇高出。小学3年に野球を始める。今年の福岡六大学春季リーグは指名打者でベストナイン。一塁、二塁、遊撃、左翼を守れる。