宮古弾薬庫用地、業者の所有権2審も棄却 一部で「時効完成せず」


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 宮古島市城辺保良での陸上自衛隊弾薬庫建設を巡り、建設地の土地取得を進める市内の採石業者が、建設地内3カ所の土地の所有権を主張し、地権者の相続人を相手に起こした2件の訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部は7日、一審の那覇地裁平良支部判決を支持し、いずれの控訴も棄却した。一審判決は1カ所で業者の所有権を認めず、2カ所は時効取得により業者に所有権があるとした。

 建設予定の3棟の弾薬庫のうち、2棟が今年3月末までに完成している。住民側代理人の喜多自然弁護士は「本来ならきちんと土地を取得し、地元の理解を得てから計画を進めるべきで、一方的に建設を進めるのは大きな問題だ」と批判した。

 民法の規定では、他人の土地でも20年間自分の土地として占有すると、時効が発生し、所有権を得たと見なされる。3カ所の土地は長期間鉱山として利用してきたとして、業者が時効取得を主張している。

 谷口豊裁判長は、業者の所有権を認めなかった土地について、鉱山権の資料に「契約地」と記載されているとし、時効が完成したとは言えないと判断した。

 住民を支援する「ミサイル・弾薬庫配備反対住民の会」の共同代表で、保良地区に住む下地博盛さん(71)は、業者の所有権が認められなかったのは、完成した弾薬庫のすぐそばの土地だとし「この土地で勝訴したのは大きい」と述べた。

 沖縄防衛局は「当事者間の問題で、沖縄防衛局としてのお答えは差し控える。いずれにしても引き続き用地取得を着実に進めていく」と本紙の取材に回答した。