【衆院選・政策比較表】基地問題・安全保障の考え方は?新基地の是非、争点の一つに 立候補予定者アンケート㊥


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辺野古新基地建設現場

 琉球新報社が衆院選に立候補を予定する主要9氏に実施した政策アンケートの2回目は、基地問題・安全保障の見解を紹介する。米軍普天間飛行場の危険性除去について、自民の4氏が「日米合意に基づく辺野古移設」を容認する考えを示した一方、「オール沖縄」の4氏は辺野古新基地建設に反対し、他の解決策を訴えた。無所属現職の1氏も独自案を打ち出した。国政与野党の間で、対立軸が明確となり、選挙戦の大きな争点の一つとなりそうだ。在沖米軍基地の負担軽減や台頭する中国への対応についても意見が分かれた。

<1区>対中国で訴えに違い

 1区は米軍普天間飛行場問題や南西諸島への自衛隊配備強化、中国への対応などで考えに違いが出た。一方、日米地位協定に関しては「抜本的改定」を求める意見で3氏とも一致した。

 普天間飛行場の危険性除去の手法を巡り赤嶺政賢氏=共産=は「普天間飛行場の無条件閉鎖・撤去」、国場幸之助氏=自民=は「日米合意に基づく辺野古移設」、下地幹郎氏=無所属=は馬毛島を活用した「新たな提案」と回答した。

 中国への対応に対して3氏ともに「外交」を重視する姿勢を示したが、考え方に差異もある。赤嶺氏は「外交による解決策模索」を追求する構え。これに対し、国場氏は「外交努力と総合安全保障の強化」を訴え、下地氏は「外交と共に専守防衛戦略の策定」を訴え、安全保障や防衛戦略にも比重を置いている。

 在沖米軍の負担軽減策を巡り、赤嶺氏が「全面撤去」を進め、すべての基地を国外に移設していくことを推進するとした。国場氏は「管理権日本、運用権米軍」を掲げ、基地管理権を日本側が保有する策を打ち出した。下地氏は自衛隊基地建設が進む馬毛島を活用し「(負担の)軽減を図りながら検討する」とした。

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<2区>負担軽減巡り論戦へ

 米軍基地所在市町村を抱える2区に立候補を予定する2氏は、日米安全保障条約や日米地位協定の考え方など立場によって意見が分かれ、選挙戦は基地負担軽減策などを巡って論戦が繰り広げられる見通しだ。

 宮崎政久氏=自民=は普天間飛行場問題の解決策を「日米合意に基づく辺野古移設」とした。日米地位協定に関して「運用見直しで対応できるか精査」、米軍基地負担軽減は「安全保障環境を踏まえ議論」とし、外交や安全保障上の議論を踏まえて負担軽減の検討を進める考えだ。

 新垣邦男氏=社民=は普天間飛行場について「県外・国外移設」を推進する。日米地位協定は「抜本的改定」を求める立場を示した。基地負担軽減策を「国外または県外移設で応分負担を求める」とし、沖縄以外の地域に移設を推進することで事件事故などを抑止する考えだ。

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<3区>辺野古移設が争点に

 米軍普天間飛行場の移設先となる名護市辺野古を選挙区内に抱える3区は、米海兵隊の運用見直しを提言し辺野古新基地建設反対を訴える立民の立候補予定者と、政府方針の着実な実施で負担軽減を進める考えを打ち出す自民の立候補予定者との間で、論戦が繰り広げられる見通しだ。日米地位協定は「抜本的改定」を求める立場で一致した。

 屋良朝博氏=立民=は新基地建設に反対し「海兵隊の運用見直しで解決」を訴える。南西諸島への自衛隊配備は反対の立場。米軍基地の負担軽減策は「海兵隊の県外・国外移転を求める」と回答した。

 島尻安伊子氏=自民=は普天間飛行場の危険性除去に向け「日米合意に基づく辺野古移設」を容認する。南西諸島への自衛隊配備は賛成の立場。負担軽減策は「応分負担を求め自衛隊共用も進める」と回答した。

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<4区>先島自衛隊配備で差

 自衛隊配備計画が進む宮古、八重山地域を抱える4区に立候補を予定する2氏は日米安全保障条約の「維持」で一致するものの、自衛隊配備計画を巡って違いがみられた。尖閣諸島を選挙区に抱える中、中国への対応を巡っても、それぞれの施策を打ち出した。

 西銘恒三郎氏=自民=は自衛隊配備を巡り「賛成」と回答。中国に対し「関係性を維持しつつ抑止力を向上」を訴える。米軍基地負担軽減策では「中国に誤ったメッセージを与えない」として抑止力が一定程度必要だとの考えを示した。

 金城徹氏=立民=は自衛隊配備に対し「住民合意なき配備は容認できない」との立場だ。中国に対して「外交による解決策模索」を進める。在沖米軍基地について「全国で応分負担を求める」として県外移設による負担軽減を訴えた。