「手話甲子園」真和志高に奨励賞 LGBT当事者の声、パフォーマンスに生かす


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「第8回手話パフォーマンス甲子園」で、LGBTをテーマにパフォーマンスを披露した真和志高手話部の部員ら=3日、那覇市の真和志高校

 「みんな違って当たり前」―。3日にオンラインで開催された第8回全国高校生手話パフォーマンス甲子園(同実行委員会主催)。予選を突破し、沖縄から本戦出場を果たした真和志高手話部は上位入賞こそ逃したが、パフォーマンスを通して多くの人に「個性を見詰めることの大切さ」を伝え、悩んでいる当事者に「自分を嫌いにならないで」とエールを送った。

 大会は手話を用いた演劇や歌などを披露し表現力などを競い合うもの。事前予選には全国から53チーム(54校)が参加し、3日の本戦には予選を勝ち抜いた真和志高を含む15チーム(16校)が出場した。

 真和志高手話部はこれまで、大会史上初の連覇や3位入賞など好成績を収めてきた。今回は部員らの提案でLGBTをテーマに、演劇や歌を織り交ぜたパフォーマンスを披露した。主人公さやかが男女両方から告白されたことをきっかけに、LGBTについて理解を深めていくシナリオ。LGBTについて事前に調べ学習をするなど脚本は生徒たちで練り上げた。

LGBTをテーマにした真和志高校手話部の本戦でのパフォーマンス=3日(動画から)

 緊急事態宣言下で、部活動ができない状況が県外よりも長く続いた。部員らはオンライン上で集まって練習を試みたが、画面ではお手本の講師の手元が見えづらい。何度も繰り返してもらうなど、もどかしさや苦労の連続だったという。

 それでも、くじけずに練習を継続できた背景には、LGBT当事者の生の声を聞いた経験があった。部員らは学習を通して「他の人と違っていてもいいこと」「違いを認め合う社会が大切なこと」を訴えようと問題意識を共有して練習に励んだ。部長の金城沙也花さん(18)=3年=は「理解のない言葉や認識で当事者が傷ついてしまう。LGBTも、手話や介助を必要とする障がいについても、理解の輪をもっと広げる必要があると感じた」と振り返った。3年の當間悠来さん(17)は「相談できず悩んでいる人たちがいる。違いを認められない社会に課題がある。本人には、絶対に自分を嫌いにならないでと伝えたい」と話した。2年の宮城凜太郎さん(17)は「性の在り方は自由だ。たくさんの人の理解が進んでほしい」と話した。

 真和志高は本戦出場校に与えられる奨励賞だった。