沖縄公庫「存続は不可欠」 県議会が意見書可決【要旨あり】


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 県議会(赤嶺昇議長)は8日、9月定例会の最終本会議を開き、「沖縄振興開発金融公庫の存続を求める意見書」と「沖縄振興策の拡充および強化を求める意見書」、「沖縄県の観光産業の再興のための支援に関する意見書」3件をそれぞれ全会一致で可決した。宛先は首相や沖縄担当相ら。

 新型コロナ対策費などを含んだ総額139億4100万円の補正予算案も全会一致で可決された。2021年度のコロナ対策費は計約3032億円となった。

 沖縄公庫に関する意見書は、「大規模駐留軍用地跡地の開発推進など、沖縄の特殊事情に即した独自制度を迅速かつ適切に運用することができる公庫の存続と各種機能の継続は必要不可欠」として、独立した組織としての存続を求めた。

 「沖縄振興策の拡充―」では22年度以降も沖縄関係税制を延長し、措置の拡充などを求めた。

 「観光再興」では「観光産業分野における新型コロナウイルス対策を強化することは、観光産業の再興にとどまらず県民の生命と暮らしを守ることにつながる」と指摘し、国に対し財政措置や支援を要請した。
 
 以下意見書の要旨

 

沖縄振興策の拡充及び強化を求める意見書

 真に自立した沖縄を実現するため、沖縄振興特別措置法に基づく振興策の拡充および強化等、国による支援は必要不可欠である。
 引き続き沖縄振興の総合的な施策を推進するため、特に重要な下記の事項について、これまでと同様に特段の措置を講ずるよう強く要請する。

 沖縄振興特別措置法および沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法については、地元の要望が反映されるよう沖縄県と十分に協議を行うとともに、その拡充および強化を図るよう所要の措置を講ずること。

 2022年度沖縄振興予算については、事項要求している防災および減災、国土強靱化対策を含め必要な経費を確保すること。また、沖縄振興一括交付金については、市町村の要望を踏まえさらなる増額を図ること。

 沖縄関係税制については、22年度以降も延長するとともに、その効果が十分に発揮できるよう措置内容の拡充を図ること。また、各特区・地域制度に導入を予定している事業認定については、同制度を利用する事業者の負担に配慮した要件等を設定すること。

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沖縄振興開発金融公庫の存続を求める意見書

 沖縄振興開発金融公庫は、沖縄の本土復帰に伴い、沖縄における政策金融を一元的・総合的に推進し、沖縄の振興開発を金融面から支援するための機関である。沖縄振興特別措置法に基づく5次にわたる振興策では社会資本で本土との格差が是正され、観光リゾートや情報通信産業の振興など成果を上げてきた。

 同公庫の政策金融は、国の税制・財政面の支援措置と並び沖縄振興における「車の両輪」として独自制度を運用し、地域に根ざした総合公庫として利用者の多種多様な資金ニーズに対応するなど、沖縄の振興発展に貢献し、沖縄にとってその存在価値は計り知れない。

 新型コロナウイルス感染症の影響により疲弊した沖縄経済のセーフティーネット機能として、同公庫にはこれまで以上にきめ細かな対応が期待される。沖縄振興推進のために、子どもの貧困問題解消や今後予想される大規模駐留軍用地跡地の開発推進など、沖縄の特殊事情に即した独自制度を運用できる同公庫の存続・各種機能の継続が必要不可欠である。同公庫をこれまでどおり独立した組織として存続させ、各種機能を継続されるよう強く要請する。

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沖縄県の観光産業の再興のための支援に関する意見書

 新型コロナウイルス感染症は、県民の生命や健康はもとより、生活と経済に深刻な影響を及ぼしている。特に、本県の基幹産業として、生活向上と経済発展に貢献している観光産業は壊滅的な状況だ。入域観光客が減少数、減少率ともに過去最大の下げ幅となった。

 県民生活と県民経済は観光産業と密接に関連している。観光産業分野におけるコロナ対策を強化することは観光産業の再興にとどまらず、県民の生命と暮らしを守ることにつながる。

 県議会は観光産業再興に関する条例を全会一致で可決し、観光産業の再興と安全安心の島沖縄の実現をめざす決意を示した。条例は、県の責務として観光関連事業者らに対する支援施策の実施などを求めることを柱としている。

 新たな施策に要する経費に充てる財源の確保が喫緊の課題だ。国は、県民生活の向上と経済の発展、観光立国の実現に貢献し、本県の観光産業再興で県民の生命と暮らしを守るため、県が新たな施策を迅速かつ円滑に実施できるよう、財政上の措置のほか、必要な支援を講じるよう強く要請する。