衆院選の争点は?新型コロナ対策はどうする?<衆院選政党・会派座談会>


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国会議事堂(資料写真)

 衆院選に向けて琉球新報が9日に実施した県内政党座談会は、長引く新型コロナウイルスの影響からの生活立て直しをはじめ基地問題や新たな沖縄振興などが争点として掲げられた。国政与党の自民、公明は連立政権を継続する必要性を訴え、野党の各党は政権交代を求める主張を繰り広げた。


<出席者>

島袋大氏(自民党県連幹事長)
鶴渕賢次氏(共産党県委委員長代理)
喜友名智子氏(立憲民主党県連代表代行)
金城勉氏(公明党県本代表)
照屋大河氏(社民党県連代表)
比嘉京子氏(社大党副委員長)
當間盛夫氏(県議会会派「無所属の会」会派長)
翁長雄治氏(新しい風・にぬふぁぶし幹事長)
司会・与那嶺松一郎琉球新報政経グループ長


<意義・争点>

早急に補正予算を 自民 島袋氏
野党団結発信する 共産 鶴渕氏
子育て教育を柱に 公明 金城氏

―衆院選の意義や争点は何か。選挙戦にどう臨むか。

 島袋 争点はやはりコロナの感染対策だ。国民生活の回復と経済対策は急務で、早急に補正予算を組む姿勢が大事だ。沖縄については復帰50年を迎える新たな沖振法をどう位置付けるかも大きなテーマだ。

 鶴渕 政権交代が最大の争点だ。野党4党と市民連合が共通政策で合意し、立憲民主と共産が政権協力で合意した。二つの合意を訴え、沖縄のように野党が団結すれば政治は変えられると全国に発信したい。

 喜友名 コロナ禍から国民生活や経済をどう立て直すかが大きな争点だ。小泉、安倍、菅政権下で生活に必要なサービスがどれだけ削られてきたかが明らかになった。この方策が正しいのか、大きく問われる。

 金城 自公連立政権を引き続き信任していただきたい。争点はまずコロナ対策を進めること。ポストコロナの経済をしっかり回復させる手だてを講じること。子育て、教育を国家戦略の柱とすることも訴えたい。

 照屋 最大の争点は9年に及ぶ安倍・菅政治をどう総括し、清算するかだ。岸田内閣は看板こそ変われど、本質は何も変わらない。辺野古新基地建設も推進だ。政治を本気で変えるなら、政権交代しかない。

 比嘉 政権交代によって、辺野古の新基地を止めることが最大の争点だ。もう一つはコロナ対策で、これまで危機管理体制がどうだったのか、病院や保健所の体制の在り方などを大いに検証し、見直していく。

 當間 ウィズコロナで県民の暮らしをどう守り、沖縄経済の早急な復活プランをどう作れるかが問われる。感染対策を徹底し、沖縄の振興策や基地問題に対し、提案、実行し結果を出す政治が求められる。

 翁長 選挙の意義は政権交代が行われるかどうかに尽きる。信が問われるのは新たな岸田政権でなく安倍・菅政権だ。県民投票で示された辺野古新基地建設反対の大きな民意を改めて明確にすることが重要だ。


<新型コロナ>

消費税一時5%に 立民 喜友名氏
抑制と補償は一体 社民 照屋氏
水際対策の徹底を 無所属 當間氏

 

ワクチン接種を受けるため、会場前に並ぶ人たち=9月、那覇市奥武山町の県立武道館

―コロナ感染抑制や打撃を受ける経済に施策は。

 鶴渕 決定的に重要なのは大規模検査だ。ワクチンを接種しても感染する事例がある。経済では持続化給付金や家賃支援金の第2弾、生活困窮者に一律10万円の特別給付金を支給する対策を早くやるべきだ。

 喜友名 無症状感染者をいち早く見つけ隔離する。自宅療養者がこれだけ増えたのは、政府の政策に検査枠や待機ステーションの拡大が足りなかった。経済は消費税を時限的に5%に下げることを実現したい。

 金城 第5波の経験を生かし医療提供体制などの準備をする。経済の回復が大きな役割で、ワクチンパスポートの活用や観光飲食産業などへの支援策をてこ入れする。企業の融資返済期限の緩和も対応したい。

 照屋 人流抑制はお願いベースでなく補償とセットだ。コロナ専門臨時医療施設を設け、医療現場や保健所の人員も増やす。消費税率の3年間ゼロで購買行動を促進する。在籍型出向制度などで雇用を維持する。

 比嘉 学校や精神病院、障がい者、保育園などで表層化した問題を検証し、予防や治療につなげる迅速な判断が必要になる。低所得者や失業者への生活支援は一過性の給付金だけで解決するものではない。

 當間 全国ワースト沖縄の感染状況は、県政が水際対策を怠ったためだ。水際の感染対策を徹底し、病院と連携して若者のワクチン接種率の向上に努める。滞在型ビジネスも観光産業の多角化につながる。

 翁長 医療体制の強化、疫学調査のデジタル化等に取り組む必要がある。ワクチン接種証明や陰性証明を活用し、安心して経済活動ができる素地を作ることが大事だ。消費税の一時的な減税も必要だ。

 島袋 空と海しかない沖縄は全国のモデル地域になるべきだ。全県民が無料でPCR検査を受けられる体制や検査の判断基準を一律で確立すべきだ。選挙後の補正予算で沖縄版のコロナ対策の予算をつける。