辺野古移設の考え方は?憲法についての考え方は?<衆院選政党・会派座談会>


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 衆院選に向けて琉球新報が9日に実施した県内政党座談会は、長引く新型コロナウイルスの影響からの生活立て直しをはじめ基地問題や新たな沖縄振興などが争点として掲げられた。国政与党の自民、公明は連立政権を継続する必要性を訴え、野党の各党は政権交代を求める主張を繰り広げた。


<出席者>

島袋大氏(自民党県連幹事長)
鶴渕賢次氏(共産党県委委員長代理)
喜友名智子氏(立憲民主党県連代表代行)
金城勉氏(公明党県本代表)
照屋大河氏(社民党県連代表)
比嘉京子氏(社大党副委員長)
當間盛夫氏(県議会会派「無所属の会」会派長)
翁長雄治氏(新しい風・にぬふぁぶし幹事長)
司会・与那嶺松一郎琉球新報政経グループ長


<普天間・辺野古>

反対の民意明らか 社民 照屋氏
移設やむを得ない 自民 島袋氏
全国で負担平等に 社大 比嘉氏

 

新たにN2護岸の工事が始まった新基地建設工事現場=8月27日、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

―米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設など、基地問題に対する考え方を聞かせてほしい。

 金城 辺野古移設で国と県の対立が続き、普天間の危険性が放置されていることが問題だ。普天間を動かすために交渉に国を引っ張り出し話を詰めていくことで、知事のリーダーシップが問われている。

 照屋 県民投票で辺野古反対の民意は明らかで、政府は工事を中止すべきだ。代替施設を県内に置く地政学的・軍事的必然性、合理性はない。辺野古は唯一の解決策ではなく、県外・国外移設は可能だ。

 比嘉 思考停止しているのは政権で、辺野古が唯一という言葉を唱え文句にしてきた。克服するには政権交代が一番の早道だ。安保条約を認めるのであれば負担を平等にしていくのが政府の役割ではないか。

 當間 自衛隊基地計画が進む鹿児島県馬毛島に訓練を移すことで沖縄の危険、騒音が軽減されるのではないか。「SACO2」など新たな米軍基地負担軽減の総合的なプラン作りをする段階に来ている。

 翁長 普天間飛行場の一日も早い閉鎖撤去は県民の総意だ。辺野古新基地建設は県民の多くが一貫して反対し、2019年の県民投票でも圧倒的反対の民意が示された。政府の政治力で早期返還は可能だ。

 島袋 宜野湾市民を思うとやむを得ない移設だ。原点である普天間の危険性除去は進めなければならない。玉城知事は国と裁判しながら全て負けている。SACO合意の米軍施設返還は経済自立につながる。

 鶴渕 野党の共通政策に新基地建設中止が合意された。辺野古移設は危険性を県民に押しつけることであり、普天間の閉鎖撤去こそすぐやるべきことだ。県民が選挙で正しい選択をしてくれると信じている。

 喜友名 新基地建設に立憲は明確に反対の立場だ。この20年で米軍がアフガンから撤退するような大きな判断が国際的には出ているのに、それでもなお沖縄に基地がある現状を国政として放っておいてよいのか。


<憲法>

全ての条項を守る 共産 鶴渕氏
条文追加や見直し 無所属 當間氏

 

―憲法についての考えはどうか。

 島袋 自民だけの憲法改正は話にならない。各党と議論し、全国民挙げ議論を積み上げる姿勢が大事だ。

 鶴渕 現行憲法の全ての条項を守る。同時に、国民の世論が出れば、合意を得て変えていくのは当然だ。

 喜友名 「論憲」で、安倍・菅政権での改正には反対してきた。岸田政権の姿勢を見極める必要がある。

 金城 議論にやぶさかではない。時代の変化に応じ、与野党を越えた合意の中で進めてしかるべきだ。

 照屋 党是として護憲を堅持している。平和憲法を変えてはいけないということは1ミリもぶれない。

 比嘉 ぶれずに(現行)憲法を堅持する。国民からの発露がないまま憲法改正に向かうのを危惧する。

 當間 現行憲法を軸に条文追加や見直しをしたい。9条は安全保障などの国民議論を深める必要がある。

 翁長 憲法は人権を守り、権力を縛る意味があると考えている。国民不在の改正には反対していく。