沖縄振興の評価と今後は?県内政局への影響は?<衆院選政党・会派座談会>


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 衆院選に向けて琉球新報が9日に実施した県内政党座談会は、長引く新型コロナウイルスの影響からの生活立て直しをはじめ基地問題や新たな沖縄振興などが争点として掲げられた。国政与党の自民、公明は連立政権を継続する必要性を訴え、野党の各党は政権交代を求める主張を繰り広げた。


<出席者>

島袋大氏(自民党県連幹事長)
鶴渕賢次氏(共産党県委委員長代理)
喜友名智子氏(立憲民主党県連代表代行)
金城勉氏(公明党県本代表)
照屋大河氏(社民党県連代表)
比嘉京子氏(社大党副委員長)
當間盛夫氏(県議会会派「無所属の会」会派長)
翁長雄治氏(新しい風・にぬふぁぶし幹事長)
司会・与那嶺松一郎琉球新報政経グループ長


<沖縄振興>

国の責任で策展開 社大 比嘉氏
リンク論にノーを にぬふぁ 翁長氏
知事の熱意感じず 公明 金城氏

 

沖縄県庁(資料写真)

―来年で沖縄の日本復帰から50年を迎える。沖縄振興計画の評価と今後は。

 喜友名 沖縄振興策は知事の交渉力で予算が決まるような仕組みになっており、大変不健全だ。これを解決することも振興策の課題だ。例えば一括計上方式が適切なのか、議論も必要になる。

 金城 振興策は沖縄の発展に大きく貢献した。これから次期振計への取り組みが必要だが、私の目から見ると、知事の熱意が全く感じられない。しかし、県民のために自公政権でしっかりサポートしたい。

 照屋 政府は沖縄の特殊事情に鑑み、国の責務として沖縄振興を実施してきた。沖縄の現状からすると、その認識は今後も欠かせない。県策定の計画を財政的に裏付けることでその責務を果たすべきだ。

 比嘉 沖縄振興は、特殊事情に照らして国の責任で振興策を展開することだ。特殊事情が解決されない限り継続する。米軍基地の占有面積を解消する必要がある。ここを進めないと自立経済の構築はない。

 當間 経済自立はまだ道半ば。われわれ政治家は反省しないといけない。環境を中心とした沖縄観光づくりが重要だ。貧困対策として教育費の完全無料化、ベーシックインカム制度導入検討も必要だ。

 翁長 今後の振計は、沖縄を日本経済のフロントランナーと位置づけ、他府県とは違う条件を強みと生かして発展させるべきだ。基地負担とのリンク論を唱える人がいるが、そうではないと主張したい。

 島袋 自公政権で次期沖縄振興特別措置法の延長に向けて頑張りたい。今、概算要求で3千億円割れの数字が出たのは、県政がビジョンを描けていないからだ。知事の思いが国に伝わっていない。

 鶴渕 自民は振興と基地とのリンク論を進めている。とんでもない考え方だ。50年がたっても県民所得の向上につながらない。歴史が証明している。自民の政策を改めるために、政権交代を実現したい。


<政局への影響>

手を携え信を問う 立民 喜友名氏
オール沖縄に意義 にぬふぁ 翁長氏

 

沖縄県議会(資料写真)

―衆院選の結果が来年の名護市長選や県知事選に与える影響をどう考えるか。

 照屋 来年の選挙では、辺野古新基地建設が大きな争点になる。オール沖縄勢力としては名護市政を奪還し、参院選と天王山の知事選の勝利につなげるため、県政を支える政治基盤をより一層強化したい。

 比嘉 沖縄問題を解決できる政権交代の候補者を当選させる。沖縄は基地問題によって議員や県庁職員は多くの時間を奪われている。県民の利益のためにも、問題の繰り返しをもう終わらせないといけない。

 當間 保守中道で団結し、新たな政治の枠組みから政策を作り直すことが大事だ。沖縄振興策や基地問題など、国と協議したい。国に依存する沖縄ではなく、沖縄らしいことができるよう政策で訴えたい。

 翁長 さまざまな選挙に影響がある。オール沖縄弱体化という議論があるが、ここで勝つのは大きな意義がある。辺野古やコロナなど、大きな課題が問われている。政権交代を起こすことで、沖縄から見る風景も変わるだろう。

 島袋 悲願である県政奪還に向けて頑張らないといけない。翁長前知事が強いリーダーシップで組織したオール沖縄という看板はもう外されている。自民公明の保守中道で強固に協力して勝つしかない。

 鶴渕 国民が長い間、政治は変わらないと思い込まされてきた。希望の火をともしたのがオール沖縄だ。野党が集まり、自公政治に勝てると証明した。団結して行動するのが定着し、今は政治を変えられる。

 喜友名 立民の掲げるチルドレンファーストの政治は、沖縄の貧困問題解決にもつながる。沖縄は、歴史と経験がある政党が尊重し合いながら共通点を探る政治の在り方がある。手を携えて衆院選で信を問う。

 金城 地方選挙への影響は分けて考えたい。国政の政権選択選挙で一番重要な判断基準は政策実現力だ。野党は政権交代というが、あの政治の混乱を国民が選ぶ余裕はない。自公政権の中で国民の支持を仰ぐ。