辺野古国会論戦、コロナで減 19年は355回、21年は70回 今回も衆院選の争点


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 沖縄県内選挙でこれまで主要争点となってきた名護市辺野古の新基地建設問題について、国会論戦の機会が減少している。新型コロナウイルスの影響が暮らしの隅々に及び、感染防止対策や経済立て直しが急務となったことが背景にある。今回の衆院選で、有権者の判断材料に辺野古問題はどの程度影響するのか。

 国会会議録検索システムで衆院の「辺野古」の登場回数を調べたところ、前職議員の任期と重なる2018~21年の最多は19年の355回だった。本会議や予算委員会、安全保障委員会など延べ82件の会議で取り上げられた。同年1月の衆院本会議代表質問で安倍晋三首相(当時)が辺野古海域の軟弱地盤の存在を初めて認め、2月には埋め立て賛否を問う県民投票があり、衆院でも盛んに質疑があった。

米軍キャンプ・シュワブの新基地建設工事現場=8月、名護市(小型無人機で撮影)

 2番目に多かったのは18年の153回。8月に県が埋め立て承認を撤回、9月には知事選があり、秋の臨時国会では辺野古関連の質疑が多くみられた。ただ、新型コロナが猛威を振るった20年は118回、21年は70回と、「辺野古」が議論される機会は減少傾向にある。

 辺野古問題は現在、軟弱地盤を改良する工事が必要になり、政府が県に設計変更を申請中だ。玉城デニー知事がこれを不承認とするかどうかが焦点となっている。政府説明では工期は最短12年、総工費は9300億円を要する。

 衆院選では14、17年と「辺野古」が県内の重要争点となった。ただ、ある自民党公認候補は「今回は従来の国政選挙と違い、基地問題一辺倒では有権者の判断に合致しない」と強調する。

 19年の県民投票のうねりをつくった「辺野古」県民投票の会元代表の元山仁士郎さん(29)は「辺野古以外にも多岐にわたって争点はあるが、県民投票の結果を無視する形で工事を続ける政権の是非も考えてほしい」と述べた。 (當山幸都)