第3次やんばる訴訟で住民側敗訴 那覇地裁「県の補助金交付は適法」


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判決後、記者会見する「第3次やんばる訴訟」原告の宮平光一さん(左)と代理人の喜多自然弁護士=12日、那覇市松尾

 国頭村が2016~17年度に宇良地区の村有林約3ヘクタールを伐採し、その後植林した事業を巡り、県が村に補助金を支出したのは違法だとして、県民9人が当時の県幹部らに計約870万円を賠償させるよう県に求める「第3次やんばる訴訟」の判決で、那覇地裁は12日、「補助金の交付決定は適法だ」として請求を棄却した。住民側は控訴する方針。

 住民側は、対象地は典型的なやんばるの森林で、十分な生産力があったと主張していた。福渡裕貴裁判長は、村の森林整備計画で、対象地が木材の生産機能の維持増進を図るための区域とされており、個別の事情がない限り、事業の対象になると判示。対象地として不適切な事情は認めがたいとし、補助金交付の実体的な要件を満たすとした。

 住民側は希少な動植物が多数生息する様子が撮影された隣接地の動画や、対象地に残された切り株などを調査した結果を証拠として提出していたが、福渡裁判長は「住民側の主張は、主観的な推測に基づくにとどまるもの」として退けた。

 判決後の記者会見で、住民側代理人の喜多自然弁護士は「実質的な検討が全くなされていないに等しい、不当判決だ」と批判。原告の宮平光一さん(75)=北中城村=は「やんばるの本来の森を取り戻したいと、裁判に関わってきた。判決に期待していたが、裏切られたと感じている」と述べた。