普天間PFAS流出 公表の可否は米軍が判断、基準や協定は内部運用


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 琉球新報が米国の情報公開制度で入手した流出事故報告書では、米軍が公表していなかった泡消火剤流出事故2件のほかにも2018年の発生時から2年遅れで県民に知らされた航空燃料流出事故もあった。在日米軍が基地での環境汚染物質の取り扱いや環境保全の方法を定めた「日本環境管理基準(JEGS)」や日米地位協定の環境補足協定は流出の通報や日米間の情報交換を掲げているが、制度の実効性に問題がある。

 JEGSは「大規模な流出事故」が発生した場合、日本政府へ早急に通報しなければならないと定める。だが「大規模」の定義が狭く、非公表や公表遅れの事故について米軍が「大規模な流出事故」に当てはまらないと判断するケースもあるとみられる。

 液体の場合、110ガロン(416リットル)を超えるか、添付の有害物質リストに定められた量を超えていた場合、報告義務が生じる。「流出が封じ込められ、揮発せず、汚染除去された場合」は、大規模な流出とみなさないという項目もある。米側が恣意(しい)的に判断している可能性もあるが、JEGSは米軍内部で運用されるため不透明だ。

 米側からの連絡の有無は、汚染への対応にも影響を及ぼす。環境補足協定は日本側の立ち入り手続きを規定しているが、米側からの通報が前提となっているためだ。

 桜井国俊沖縄大学名誉教授(環境学)はJEGSについて「米軍の内部規定でしかなく、騒音規制に関する項目がないなど、内容もいい加減だ。公表が米軍自身の基準に委ねられていることが問題だ」と指摘した。
 (明真南斗)